表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/93

あれ? やばくね?

「くらえぇぇええ‼︎‼︎」



 我の全魔力を込めた暗黒の球体を、アルスに向かって振り下ろそうとした瞬間ーー。

 アルスの背後から肌を切るような冷気が我に向かって吹き付ける。

 冷気は一瞬で鋭い氷の刃へと形を変えると、我に向かって一斉に牙を向けてきた。



「トルテちゃん……」



 氷の魔法を発動させた主を見つめる。

 彼女の憎しみと悲しみが入り混じったような瞳を見た途端、心臓までもが凍り付いたように動けなくなった。

 


 ドスッ、ドスッ。

 同時に我の体に何本もの氷の刃が突き刺さる。



 行き場をなくした暗黒の球体は、窓ガラスにぶつかり、ミシミシと音を立てると、大きな穴を開けて海で爆発を起こしていた。



「ちっ‼︎」


 自らに放たれると思った氷の刃が、ゾーラに向かったことに気が付いたリコッタは、怒りと魔力をさらに込めた爆発を作り出し、トルテちゃんに向かって振り下ろした。



「ああぁあああ‼︎‼︎」



 呪文を唱えたばかりの、ガラ空きの体に凄まじい爆発が巻き起こる。

 衝撃により吹き飛ばされたトルテちゃんの小さな体は、床に大きく叩きつけられると、そのまま意識を失った。

 凄まじい痛みを味わったはずなのに、その顔はなぜか微笑んでいるように見えた。



「ありがとう……、ありがとうトルテ……‼︎」


 

 氷の刃によって切り裂かれた腹を押さえて、這いつくばる我の耳に聞きたくないセリフが入ってくる。


「ぐうう……」



 呻きながらわずかに顔を上げると、その手に勇者の剣を握ったアルスの姿が瞳に映った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ