#リコッタ
お久しぶりです。
またゆるやかに続けたいと思います。
皆さまどうぞ宜しくお願い致します。
「聖霊よ、戦う者に加護を」
神官がストロガノフとオーガの相手をすることで、勇者の回復や援護をするものがいなくなる。
そう悟ったトルテちゃんは、せめて勇者の攻撃力を上げようと、手で複雑な紋章を作ると、呪文を唱え始めた。
同時にリコッタも、コピーするかのように手で複雑な紋章を作り、呪文を唱え始める。
勇者の体がピンク、我の体が紫色の光で包まれた。
体の底から力が沸き上がり、武器がいつも以上に軽く感じる。
同じ攻撃力が上がる魔法をかけてくれたようだ。
カツカツカツ。
呪文を唱え終わったリコッタは、ピンヒールを鳴らしながら、トルテちゃんの前に立ちはだかると、ゆるいカールがかかった、長い紫色の髪をさっと払った。
「アナタの相手はアタシ」
トルテちゃんは一瞬、驚いた表情をしつつも、即座に微笑を浮かる。
「いいわ。テニース国での決着をつけましょう」
挑戦を受け取った。
リコッタとトルテちゃんはお互いに見合うと、長い髪をなびかせて魔力を高めていた。
なぜだろう、オーガたちと神官のときより空気が張りつめている気がする。
「先に言っておくわ。私、アナタみたいな男ウケ狙ってる清純派、大っ嫌いなの!」
「気が合うわね。私もアナタみたいな下品なキャバ嬢、大っ嫌いなの!」
「ふん」
ふたりは冷笑すると、トルテちゃんは鋭い氷の刃、リコッタは膨張するエネルギーの塊を手の平に作りだした。
我とアルスの両サイドで魔法や拳が激しくぶつかり合う音が響く。
「さあ、僕たちも決着をつけようか」
アルスは我を真っ直ぐ見つけると、切っ先を向けて宣言した。




