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 リコッタのアドバイスに従って、さっそく自分が頑張れそうなものを探してみた。


「まずは武術だな」


 これは、愛着のある魔笛件鎌以外で戦うことは考えられなかった。

 今にも血が滴り落ちそうな半月を描く大刃。

 スマートな持ち手は、笛として死の旋律を奏でることもできる2WAY仕様。

 魔王にふさわしいビジュアルも大変お気に入りである。


「ネット、鎌、戦い方っと……!」


 さっそく、マスターすべくネットでググる。


 

『使い勝手が悪い』『見掛け倒し』『草刈り』『農具』。


「…………」


 我の欲しい情報がまったく出てこなかったので見なかったことにした。



「仕方ない。鎌はオリジナルで習得することにして、暗黒魔法に本腰を入れることにしよう」


 元々、漫画やラノベが好きだから、魔法書を読むのもそこまで苦ではないはずだ。

 難解な呪文を唱える姿も超カッコイイし。

 それに、勇者を吹き消すような暗黒魔法をマスターすれば、一発逆転だって夢ではない。

 

 思い立ったら吉日。

 魔王一族に代々伝わる、強大な暗黒魔法をマスターすべく、じいさんのいる資料集へと向かった。

 本来なら人類の財産である大賢者が魔界にいる。

 なんの因果わからないが、とてもありがたいことだ。

 あのとき、我の夜食を分け与えて本当によかった。



「おお、ゾーラか。その顔はずいぶん吹っ切れたようじゃの」


 ドアを開く音に気付いたじいさんは、書を読む手を止めて振り返った。


「うん。じいさんのおかげ。ありがとう。あのさ、我が家に代々伝わる暗黒魔法ってないかな?」

「急になんじゃい。う〜ん、そうじゃのう。あるっちゃあるが……」


 じいさんはアゴひげを撫でて、少し考え込むと顔をしかめながら答えた。



「心身ともにものすごいダメージを受ける術じゃ。最弱なお主にはちと難しいぞ」

 

「わかってる。でも、何かひとつでも必殺技を身に付けたい。もう、二度と後悔したくないから、少しでも強くなりたいんだ。そのためにはどんな努力でもする! だから‼︎」


 なりふりなど構っていられない。じいさんに向かって頭を下げた。


「お願いします‼︎ 我に暗黒魔法を教えてください‼︎‼︎」


「…………。本気のようじゃな」


 じいさんはしばらく我を見つめると、ゆっくりと椅子から立ち上がり、資料室の一番奥にある分厚い魔法書が収められた本棚から、ホコリをかぶった1冊を取り出した。



「お主にぴったりの暗黒魔法がひとつある」


 それは、妬み、嫉み、鬱憤、下心を増幅させて巨大なエネルギーへと変換する魔法だった。



 もう少し、魔王っぽくてカッコイイ暗黒魔法はないのだろうか。



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