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#後悔、#怒り

一方、ザンギは――。



「はあああぁぁぁあ!」


 カラクリ屋敷のホールで女神像の前に立っていた。

 腰をグッと落とし、低く構えると、拳に力をためる。

 こめかみと腕にドクドクと血管が浮き出て、体から青い炎が火柱のように立ち上る。

 ふと、ザンギの頭に昨晩の別れ際がよぎった。



「くっそ! リコッタを送ればよかった!」


 腕を思い切り引くと、怒りと苛立ち、後悔を込めた拳を女神像に思い切りぶつけた。


 ドゴーーーーン‼︎‼︎


 森に響くほどの凄まじい衝撃を受けた女神像は、ガラガラと大きな音を立てて崩れ落ちた。


 ザンギが瓦礫となった女神像をかき分けると鉄の扉が現れる。

 そこには、ドワーフが作ったであろうアクセサリーや銀細工があった。

 相当な値打ち物だろうが、いまのザンギには石ころにしか見えない。


「ちっ、ここじゃねぇ!」  


 次に、ザンギはリコッタが隠し部屋があると言っていた壁に立ち、先ほどと同じように拳をぶつける。何度も拳を叩き込み、ようやく壁の表面が崩れ始めた。


「頑丈にできてやがる……」 


 ザンギは肩で息をつくと、滝のように流れる汗をぬぐった。

 いまの自分には、屋敷を破壊してリコッタを、もしくはリコッタに繋がる手がかりを見つけることしかできない。


「拳が壊れようとも、何度でも打ち込んでやる!」


 ザンギは決意を込めて呟くと、再び拳に力をためた。


「大賢者様‼︎‼︎ ご無事ですか!? 一体、何が起こってるんですか!?」


 突然、屋敷の扉が開き、凛とした声とともに、勇者とその仲間が入ってきた。


「お前は……‼︎‼︎」


 勇者はザンギを見ると、目を見開き、燃えるような怒りを宿した。


「山奥村を襲ったオーガだな‼︎‼︎ 言え! 今度は大賢者様に何をした!?」


 敵意をむき出しにしながら、体の正面で剣を構る。

 それを合図に、仲間たちも武器を構える。


 ギラリ。


 刀身から放たれる白い輝きが、ザンギの顔に反射した。



「そりゃ、こっちが聞きてぇや」


 ザンギは鼻で笑い、小さく呟くと、拳を手の平に叩きつけた。



「俺はいま最高に機嫌が悪い。死んでも後悔するなよ」


 青い炎をくゆらせると、アルスに向かって言い放った。

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