#約束
「え? リコッタですか? しばらく出勤の予定はないスよ。辞めたいって言ってたし。どうかしたんスか?」
肺が破裂するほど全力で走り、ブラッディへ向かったが、我の望む答えは返ってこなかった。
デーモンに事情を話し、住所を聞き出すとリコッタの住む超高級デザイナーズマンションへ駆け出した。
『ピンポーン! ピンポーン!』
ドンドン! ドンドンドン!
「リコッタ! いる?」
チャイムを何度も押して、呼びかけながらドアを叩いたが何も応答はない。
ドアに耳、覗き穴に目を当て、部屋の様子を探ってみるも内にリコッタや人がいるような気配は感じなかった。
「どうしよう……、本当に大賢者にさらわれたのかもしれない」
「ゾーラ!」
ドアの前で右往左往していると、ミルクがドスドスと大きな足音を立て、息を切らしながらやって来た。
「はぁはぁ、リコッタ見つかった!?」
「いや、まだ……」
「えええ……、心友になにかあったら、ウチ、ウチ……、うわああああーーーん!」
肩を震わせて大粒の涙をぽろぽろとこぼすと、子供のように大声で泣き出した。
呼吸に合わせて収縮する鼻ちょうちん。
いまシリアスなシチュエーションなのはわかっている。
奥歯をかみしめ、笑いをかみ殺した。
「ミルク、落ち着いて。我とザンギが必ず見つけるから。もし、リコッタが戻ったり、連絡があったら我に教えてくれないか」
「うっうっ、約束だよぉ! 必ず見つけて!」
「絶対。約束する」
泣きじゃくるミルクの目を見つめ、手を握って誓うと、再びザンギの元に走へ出した。




