#早朝、#勇者抹殺計画
現在時刻、朝6時ーー。
チュンチュンとやかましい鳥のさえずりが耳につく。
バカふたりがダラダラしていたせいで、山奥の村カストに着いた頃には夜が明けていた。
夜襲まであと18時間もある。
「くっそまぶしい」
サンサンと降り注ぐ太陽の光に、ストロガノフが目を細める。
暗黒の地出身の我らは、太陽の光に慣れておらず、人間の何十倍も眩しく感じるのだ。
「少し、休憩しようか」
仕方ないので、カスト付近の河原で休むことにした。ついでに勇者抹殺計画をヤンキーたちに伝えることにする。
ちなみに計画は以下の通り。
「深夜12時。村人が寝静まった頃、村を囲むように火を放つ。燃え上がる炎に慌てふためいた勇者と村人が村の中央に集まるはずだから、そこを3人でボコボコにしよう」
バカにもわかるように地面に絵を描きながら説明する。
ちなみにこれは表向きの計画。
実際は全員でフルボッコにするのではなく、ヤンキーたちと戦っている勇者を、我が後ろから斬りつける目論見だ。
あまりにカッコ悪い計画なので上記でお伝えした。
「なにか質問は?」
顔を上げるとストロガノフとザンギはイヤホンをつけてモバゲーをしていた。
入念な打ち合わせをしたものの、まだまだ時間がある。
ただ、時間が過ぎるのを待っていてもムダだ。
「ちょっとひとりで山奥村を偵察に行ってくる」
全く聞いていないストロガノフとザンギに告げてから山奥村へ向かう。
RPGの展開でよくある、『魔王軍に襲われた勇者が地下通路から脱出』を潰すべく、怪しげなところをしらみ潰しに探しすのだ。
時間を有効に使いつつ、退路を完璧に断つ。
計画がさらにブラッシュアップされた。