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#我、#痛恨のミス

「これはそう。絶対……」

 

 ひとり呟きながら、トルテちゃんは美しい光沢を放つ、円形の盾を両手でしっかりと持つと、中央にある勇者の紋章を確認した。 


「見つけた! 勇者の盾!」


 涙まじりの声で盾を見つめると、愛おしそうに胸に抱きしめた。


「よかった、ここへ来て。ゾーラさん、本当にありがとう!」


 無垢な微笑みを浮かべたトルテちゃんが、我に感謝を伝える。かなり複雑な気持ちである。


「きっとこの盾も、魔族によって大臣とともに隠されていたんでしょう」

「さあ、どうなんだろうね……」


 先程から推理が当りまくっている。


「でも、ひとつだけわからないのは、なぜ、突然扉が開いたんでしょうか……?」

「さっ、さあ? よくわからないけど、すごくラッキーだよね……」


 答えは、我が解除呪文のチョイスをミスったからである。

 もう、痛恨なんてもんじゃない。

 即死レベルのミスだ。

 我のバカバカバカ‼︎


「では、ゾーラさん行きましょう! アルスに事の真相を伝え、この盾を渡せば国王を、いいえ、テニース国を元に戻せるかもしれない!」


 船着き場に戻ると、トルテちゃんは再びに重力の魔法を唱え始めた。

 その顔は、あふれんばかりの希望に満ち溢れている。


 あああああ!


 マジでヤバい!

 どうしよう、どうしよう‼︎


(我が庭園に戻るまでに、リコッタは勇者を殺っているのだろうか?)


 ふと不安がよぎる。成功してれば良いが、万が一、失敗していたら、盾が勇者に渡ってしまう。

 そうしたら、ヤツはたちまち正気を取り戻すだろう。

 我が魔王ってこともバレて、リコッタともどもトルテちゃんの前で公開処刑ってこともありえるのだ。


 ああ、とりあえずなんとかしなきゃあああ! 


「ええと…」


焦りながら辺りを見回した時、船着き場の下にあるボタンが目に付いた。

最後に逃がした囚人の言葉がよみがえる。


「トルテちゃんごめん!」  


 聞こえないくらいの小声で謝りながら、意を決してボタンを押した。


 ゴゴゴゴゴ……‼︎ 


 地鳴のような音が響き、貯水池の奥にある扉がゆっくりと開く。


 勢いよく水が吸い込まれて、我らの体はあっという間にのみ込まれた。


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