表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/93

#寝ぼけまなこ、#おっぱい

「ゾーラさん……、ゾーラさん……」


鈴が鳴る声が聞こえる。

薄っすらと目を開けると、我の左頬の下には、蜜をたっぷり含んだ桃みたいなおっぱいがあった。


どうやら夢を見ているようだ。


ならば、このおっぱいに顔をうずめてしまおう……。

桃の割れ目のような谷間に顔を近づける。


「キャッ!」


突然、小さな声が聞こえた。


「あっ、あれ……?」 


驚いて顔を上げる。


「あ、あ、えええええ⁉︎ ト、ト、トルテちゃん‼︎‼︎‼︎」


どうやら我は、居眠りしていたうえに、トルテちゃんにもたれかかっていたようだ。 


「ごっ、ごめん‼︎ 本当にごめん‼︎ 寝ぼけてて……」


すさまじく動揺しながら無礼を詫びる。

トルテちゃんは我の顔を見ると、くすっと笑った。


「ふふっ、大丈夫ですよ。ゾーラさんの後ろ姿が見えたから隣に座ったんです。でも、あまり気持ちよさそうに眠っていたから、そのままにしていました」


「あの、どれくらいもたれかかってた? 重かったよね。本当にごめん」


「10分くらいですかね。もう、気にしないで」 


なんという女神。

魔界高校の女子に同じことをしたら、三年間『キモい』と後ろ指刺されただろう。


女神から許しを得たことで、ようやく動揺がおさまり、少しずつ会話が始まった。



最初は世間話。

それから徐々に勇者の盾の話になった。


「一刻も早く、旅を進めたいのですが、宴会が終わるまで継承できないと言われて……」


「へぇ~、そうなんだ~」


 首謀者は我だ。

もちろん知っているが、あたかも始めて知った演技をする。


「テニース国にそんな習わしはないし、それに、頑なに盾を見せてもらえなかったんです」


 トルテちゃんの顔から笑顔が消えた。

顔を俯かせ、ヒザに置いた手をじっと見つめている。


「じつは……、ジョナ村にいるときに、身なりの良い男性が『国王がご乱心だ。悪魔に盾を捧げてしまった』と、神殿に駆け込んできたんです。神官たちがテニース城に確認をとったところ、何事もなかったようなので、男性は帰されたみたいなのですが」



 大臣だ。胸が早鐘のように打った。

リコッタを襲う前に、ジョナ村に駆け込んでいたとは……。

牢に閉じ込めたことは大正解だったようだな。


「いま、テニース城で異変が起こっている。勇者の盾も隠されている気がするんです!」


 そう言うと、トルテちゃんは我の方に体を向け、両手をギュッと握った。


「ゾーラさん、お願いです! 私と、勇者の盾探しに、付き合ってくれませんか?」


握られた手の強さに驚き、彼女を見つめ返す。

頭の中に、先ほどのセリフがリフレインした。


『ゾーラさん。お願いです! 私と……付き合ってくれませんか?』



考える前に、体が勝手に頷いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ