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#キャバクラ、#ブラッディ、#ようこそ

「いらっしゃいませ〜!」


人間の黒服に化けたデーモンとベリエルが宴の間の扉を開く。

扉の両サイドには、同じく人間に変装したブラッディのキャバ嬢が並び、勇者一向に愛想を振りまく。


「料理はお好きなものを、お好きなだけどうぞ」


デーモンが案内する。


 テーブルには香辛料の効いた肉や魚に米料理ほか、スープやサラダが所狭しと並んでいた。

 トロピカルフルーツや砂漠の国では手に入りにくい砂糖菓子が華を添えている。

ドンペリ、シャンパン、ワイン、ビールなどの酒も浴びるほど用意してある。


テーブルの周りには、絹のシンプルなシャツに繊細な刺しゅうが入ったベスト。

 ややゆったりしたボトムを履き、頭にはルビーが付いたターバンという砂漠民族の正装を纏った、国王や側近が談笑している。



「すごいな! こんな盛大な宴、生まれて初めてだよ! なぁ、クラウト!」


「テニース国王が、直々にもてなしてくれるなんて……。これも、神の御導きだね。あとで感謝の祈りを捧げないと」


豪華さに圧倒された勇者は田舎者丸出しで、キャッキャッとはしゃいでいる。

 これが人生最後の宴とはつゆ知らず。哀れな奴らよのう。


「勇者一行のご功労に敬意を表し、また魔王との厳しい戦いを勝ち抜くよう心からお祈り、声援を送らせて頂く。それでは、乾杯!」


国王の乾杯の挨拶により宴会がスタート。


勇者一向は国王や側近と盃を交わし、和やかに歓談をしていた。


黒服を装った我は、デーモンの図体に隠れてこっそりとホールに侵入する。

勇者にバレていないことを確認してから、リコッタに指でサインを送る。

リコッタが目配せすると、待機していたキャバ嬢たちが、勇者と神官に一斉に押し寄せる。


「キャー! 勇者様と神官様よ~! ステキ~! 一緒に乾杯してくださる~?」


「はい! ぜひ!」


ブラッディのキャバ嬢たちを貴族の娘とでも思っているのだろう。

 勇者と神官は、少し照れながらも、穏やかな微笑みを浮かべ、グラスを合わせると酒を口に運んだ。


「ちょっとズル~イ、私も乾杯した~い!」


 間髪入れず、次のキャバ嬢が酒を注ぐ。

 自分たちの歓迎という手前、断り切れない勇者と神官は、次々と酒を飲みほした。



「クックック、その調子でどんどん飲ませるがよい」


勇者に酒を飲ませた者は、一杯五百オカネーのドリンクバックを支払うとしよう。

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