#決戦前夜、#星に願いを、#ロマンティック
「いよいよ明日か」
深夜、ようやく準備が整い、バルコニーでひと息つく。あとは勇者一向を待つばかり。
長かった戦いも明日で本当に本当に終わりだ。
ていうか、マジで終わりにさせて欲しい。
「神様、今度こそお願いします」
切実に願いながら天を仰ぐと、魔界では見ることのない星が、夜空一面に輝きを放っていた。
「まるで、トルテちゃんの笑顔みたいだな……」
ガラにもなくロマンティックな気分になり、そんな我に少し微笑む。
明日、久しぶりに再会できると思うと胸が高まった。
「今すぐ……、君に会いたい……」
敵同士や種族なんて関係ない。
ただただ会いたいのだ。
スッと夜空を走った星が、願いを叶えてくれるような気がした。
「こんなところにいたんだ……。探したよ」
すると背後から女の声がする。
お星さまが願いを叶えてくれたのだろうか?
ドクンと強く鳴った心臓をおさえつつ振り返る。
「明日、ウチが勇者の接客中に着るドレス、ミニとロングどっちがいい?」
はち切れんばかりのショッキングピンクのミニドレスを身に纏ったミルクが、ロングのチャイナドレスを手に立っていた。
ああ、ここにいるはずはないとわかっていたよ。
一気に力が抜け、力のない愛想笑いをする。
「あー! 心配してるんでしょ~? でも、ウチ、キャバは仕事でやっているのであって、心までは売らない主義だから。少しは安心した?」
お星さま。
願いが叶うならコイツを消してください。