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#勇者、#誕生、#イケメン

「一体、どこに行けばよいのだ……⁉︎」


 勇者成敗へ出かけたものの何にも情報がなく、勇者がどこにいるのかさえもわからなかった。

 仕方ないので、一旦城に戻り、まずはネットで勇者のことを探るとする。


「『#勇者』、『#誕生』、『#イケメン』っと」


 さっそく、意識高い系がこぞって愛用しているインスタントグラムでそれっぽいワードを入れて検索。


「多分、こいつだな⋯⋯」


 我のスマホに勇者のものと思われるベージがヒットした。

 以下、ヤツのコメントである。



 はじめまして!


 アルス・シャンディガフ勇者の末裔です。

 先日、洗礼を受けて勇者になりました。


 現在は山奥村カストで、大親友で神官の"クラウト・ザワー”と日々切磋琢磨しています。


 まだまだ未熟ですが、来週には魔王討伐に旅立つ予定です!


 皆さん、応援よろしくお願いします!

 

「チッ!」


 いい子ぶった自己紹介文に、少々イラつきながら、プロフ横にある写真をタップする。

 

 そこには、涼しげで意志の強そうなヘーゼルの瞳にスッと通った形の良い鼻、親しみやすさのある大きい口で爽やかに微笑んでいる青年が現れた。


 長身で引き締まった体には、勇者の紋章である精霊の横顔が刻まれた白銀の鎧を纏い、腰には長剣をぶら下げて、アッシュ系ブラウンの髪を風になびかせている。



「ぐぬぬぬぬ⋯⋯⋯⋯」


 ちくしょう! 

 いかにもモテそうなイケメンじゃねーか! 

 

 これ見よがしに、勇者の紋章をアピールしやがって。

 タメなのに身長も我より5センチ高い。


 『魔王討伐』と堂々と殺人予告しているのも腹が立つ。

 しかも、男だけでなく女友達との写真も満載だ。



「ぬおおおおオオおおおおおおお!!!!!!!!! リア充めええぇえエエェェェxえええ‼︎」 



 こんなヤツに殺されるかと思ったら、スマホを床に叩きつけそうになったが、ここで破壊してしまったら今後の戦いに支障をきたす。

 王座横のサイドテーブルにそっと置き、手足をバタバタさせて怒りを鎮めた。



「はぁはぁ⋯⋯⋯⋯」


 深呼吸して呼吸を整えながら再び画面を見る。



 落ち着け、大丈夫だ。

 

 冷静に見れば勇者はまだ誕生したばかり。

 レベルも低く、魔法も大して使えなさそうだ。


 いまなら互角。

 

 いや、怒りでギリ勝てそうな気がする。



 少し気持ちが落ち着いて、画面を見直す。


 プロフの下に続きがあった。




『幼なじみの彼女と交際中!』 



 勇者よ。


 この魔王様を、本っ気で怒らせてしまったようだな! 


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