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#ミルク、#暗闇、#デート

「ずいぶん、涼しいな」


地下水路は外の暑さとはうって変わって、ひんやりとしていた。入口付近には食料を保存しておく備蓄庫や武器庫がある。


「ヤバイ、おやつあるじゃん!」


そう言いながら、ミルクは食料庫から大量のバナナや菓子を取って懐に入れていた。


水路には等間隔にランプが設置されているものの、奥に進むに従ってランプの間隔は広がり、次第に仄暗くなっていく。


「暗くない? 足元が見えないんだけど!」


ミルクが怯えたふりをしながら、我の手を握ってきた。暗黒の魔界に住んでいるくせに何を言うか。

手を振り払おうとしたが、ガッチリと掴まれて離れない。


背中にはおっさん、腹には勇者の盾、左手には魔笛兼鎌、右手にはミルク。

我のオシャレレベルが下がった。


「キャッ、怖〜い」


しかも、蝙蝠が飛んでくるたびにミルクが抱き付いてくる。

ベアハッグのような強力な締め付けなので、囚人牢が現れた頃には足腰がガクガクしていた。

ていうか、お前絶対怖くないだろう。

担いだおっさんも我ともに締め上げられたので、心なしかぐったりしていた。


「ずいぶん広いな」


水路の突き当りには、水を堰き止める巨大な扉と、二十五メートル程度の溜池があった。

濁っていて底は見えないが、石を投げたらドッポンと音を立ててゆっくり沈んだので、多分深いのだろう。 


国王の言った通り、対岸には囚人牢が並んでおり、簡素な船着き場に筏が繋いである。

こんな貧相な筏に、ミルクが乗ったら絶っ対に沈む。


「ちょっとこの場で待ってて」

「え〜どうしようかな。あ! もしかして凶悪な囚人どもからウチを守るため? ゾーラ、優しいっ!」


勘違いをしてらっしゃるが、足腰が痛くてツッコむ気力がなかったので、聞こえない振りをした。


筏にはオールがなかったので魔笛兼鎌を使う。


こんなに使えるとは思わなかった。

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