表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/93

#モンスターが現れた

国王からテニース城の構造を聞いたところ、城の地下にはオアシスから水を引くための水路があり、奥には囚人牢があるという。

大臣はそこに閉じ込めておくことになった。


「囚人たちの逃亡防止の為、牢は対岸から筏を使わないと行くことができない」


そう国王が言ってたので、空いている牢に勇者の盾を一時保管しておくことにした。


「リコッタ、大臣に深い眠りと、重力を軽くする魔法をかけてくれないか?」


ご存じの通り、我は最弱なうえにガリ。

恰幅の良い大臣を、牢獄までおんぶして歩くことなどできやしない。できやしないよ。ククク……。

また、途中で意識を取り戻した大臣に暴れられてはひとたまりもない。



「はあー」


リコッタは深いため息をつくと、手で複雑な印を作り呪文を唱え始めた。

パープルの髪がゆっくりとなびき、大臣の体をピンク色の光が包む。

 呪文を唱え終わると同時に、大臣の体から重さが抜けて羽のように軽くなった。


続けて、眠りの呪文を唱える。


 詠唱しながら、指先から光の円を出すと、大臣の頭に向かって飛ばした。

 円は大臣の頭を包むように広がると、吸収されるように消えた。

 呼吸が深くなったので、深い眠りについたのだろう。


「こんな中学生レベルの魔法も唱えられないの? マジでヤバくない?」


「ぐぐぐぐ……」


軽くディスられたので、重力の魔法は高校レベルだと反論しようとしたが、我に魔力がないのは事実である。言葉をぐっと飲み込んだ。


この戦いが終わったら、もう少しちゃんと勉強することにしよう。


背中にはおっさん、腹には勇者の盾、左手には魔笛兼鎌という、不本意な装備で城門の下にある地下水路へと向かう。


「ゾーラ! リコッタから聞いたんだけど、地下牢に行くんでしょ? ウチ、ヒマだから一緒に行ってあげてもいいよ!」


途中、ミルクが出現した。


「てか、なんでおっさん担いでいるの? マヂウケる~!」


リコッタの命令だ。

 我だって、好きでおっさんを担いでいるわけではない。

同行を何度も断ったが、あまりにもミルクがしつこいので、好きにさせておくことにした。



 地獄の デートの始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ