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#砂漠の国、#テニース、#砂まみれ

 時刻は深夜。リコッタとともにテニースに到着。

なぜか、呼んでないミルクまでついてきた。


砂漠の真ん中に位置するテニースは、代々住んでいる砂漠の民や旅人が集まってできた小規模な国だ。

小さいながらも勇猛な砂漠の民と、それを束ねるテニース国王の手腕によって、一度も他国も侵略を許したことがないという強国だ。


灼熱の大地の呼び名にふさわしく、夜中になっても気温は下がらず、じっとりと熱い。

熱波にあおられた砂埃が、延々と舞っている。


「すっごい乾燥してる。自慢の髪も肌もパッサパサなんだけど!」


 着いた早々、リコッタが文句を垂れる。

我慢しろ。我だってお気に入りの暗黒アーマーが黄砂まみれだ。

魔笛兼鎌には砂がぎっしり詰まっている。



「まずは物陰に隠れて、テニース城の様子を伺うとしよう」


 城は頑丈な石造りの城だが、壁一面にタイルが貼られていて見た目は華やかだ。

 丸くデザインされた塔の先端がオリエンタルな雰囲気を醸し出している。


「映える〜」


 ミルクがほざきながら、写メを撮ろうとしていたので全力で阻止した。


「門には見張りが2人」

 

 気を抜いているようで、ひとりはウトウトしていた。


(さて、どうしたものか……)


考えている間もなく、リコッタはドレスのスリットをひるがえし、太ももの付け根にあるガーターから、ダガーを2本抜き、見張りの喉に投げつけた。

百発百中で突き刺さったダガーにより、見張りたちは声を出す暇もなくヒザから崩れ落ちる。

ウトウトした見張りは、もう二度と目を覚ますことはないだろう。

 男を転がすことしか能がないと思ったが、なかなかやるではないか。


「さっさと行こうよ。早くお風呂に入りたい」


 そういうと、リコッタは城の扉を開け、ヒールをカツカツと鳴らして歩き出した。


 深夜の城内はガランとしている。

 エントランスには国王と思われる、精悍な顔立ちをした中年男性の肖像が飾ってあった。

 頭には砂漠の民族特有のファッションアイテム、ターバンを身につけている。


 エントランスから中央階段を昇ると、右奥に見張りが立っているドアがある。

 ここだけ、警備されているということは国王の部屋だろう。


 リコッタは階段の影で再びダガーを抜き、見張りに向かって投げつけた。

 ダガーが胸にささった見張りが、驚いた顔でこちらを見つめる。


「国王っ……」


 喉の奥から呻きながら、最後の力でドアを数回叩いてから力尽きた。


 敵ながら天晴れな部下である。

 我もこのような部下がいれば、最初の戦いで勇者をフルボッコにできていたのかもしれない。


「何事だ?」


 太く、通る声とともに扉が少し開く。

 奥には肖像画と同じ人物がチラリと見えた。


 実物は肖像画よりも剛健で凛とした雰囲気。

 いくつもの戦場を乗り越えたであろう体は隆々として張りがあった。

 まぁ簡単に言うと、渋くてマッチョ。その上、国王。モテないはずがない。

 いい女も星の数ほど抱いただろう。果たしてリコッタなんぞに魅了されるのだろうか? 


 一抹の不安がよぎる。


「ウフフ……」


 リコッタが扉の前に立ち、怪しげな微笑を浮かべる。

 嗅いだことのある、甘くスパイシーな香りが辺りを包む。



 すると、ものの数秒で内側から扉が開いた。




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