#盗み聞き、#ごめんなさい
今回の勇者抹殺計画2は、確実に成功するだろう。
その際はこの裏アカは閉鎖することになる。今まで読者だった皆様ありがとう。
今後は、トルテちゃんとのラブラブDaysを綴ったインスタを始める予定だ。
そのときはフォローをよろしく頼む。
「ルルル〜♪」
充実したミーティングが終わり、鼻歌交じりでトイレに立ち寄る。
扉に手をかけると、併設されている女子トイレの扉からリコッタとミルクの声が聞こえた。
「ていうかさ~、魔王ずっとミルクのこと見つめてるよね」
「リコッタも気付いた? しかも、ウチの胸ばっかり見てるの~」
(違ああああーーーう! リコッタを見ると妖術にかかるからだあああああ!)
全身で否定したかったが、声を出すと盗み聞きがバレる。グッと言葉を飲み込んだ。
「魔王、アンタに気があるんじゃない?」
「やっぱり? ウチもそんな気がする〜。まぁでも、悪い気はしないかな。つか、結構タイプ! 告られたら付き合ってもいいかも」
「いいじゃん! 付き合いなよ~、応援する~」
全身を凄まじい悪寒が走った。生まれて始めてモテたが、全く嬉しくない。
「じゃあ、アタックしてみようかな。リコッタも協力してよね! てか、ウチお腹減った~。この後、空いてる? 焼肉食いに行かない?」
(お前、さっきまんじゅうひと箱食っただろう!)
心の中でツッコんだ。
「ごめ~ん。ザンギと同伴の約束が入ってるんだよね」
「また? アイツ週2で通ってるじゃん。リコッタにベタ惚れだね~」
キュッと蛇口を捻る音が聞こえたので、慌てて男子トイレに入った。
女子トイレの扉が開き、ふたりのキャッキャッした声が徐々に遠ざかっていく。
「ザンギがリコッタに惚れているというのは意外だった……」
が、良い情報を掴んだ。
後々、役に立つかもしれない。覚えておこう。
そしてミルク、ごめんなさい。




