#裏アカ、#魔王、#初めまして
ここは魔界。
永遠に太陽が昇ることのない暗黒の地。
その中心にはおどろおどろしい血色の魔界城が佇み、周囲には歓楽街が立ち並んでいる。
そして我は、先日就任したばかりのフレッシュな魔王『ゾーラ・ゴルゴン』。
まずは、初めての方のために自己紹介。
我はアニメとゲームが大好きな私立魔界高校1年生の魔族男子。
トレードマークは透け感のある銀髪と同じ色の瞳。
授業中や戦闘時はワックスを使って軽く髪を立てている。
目付きが悪く、八重歯のため近寄りがたいと思われがちだが、仲良くなったらよく話すタイプなので、気軽に話しかけて頂きたい。
「なぜ、どこにでもいる普通の魔族の我が、魔王になったのか?」
だって?
簡単に言うと先日インフルエンザで学校を休んだからだ。
我が発熱で苦しんでいた先日のことである。
「では、全校集会を始める。生徒会長のダークエルフから大事な話があります」
「はい。先日、魔王が勇者と共倒れしたので新魔王を選びます」
「ええー、ヤダよ! なりたくねー!」
「ん? ゾーラ休みじゃん!」
「ゾーラがいいと思いまーす!」
「賛〜成!」
というノリで押し付けられたそうだ。
余談だが、魔王が憧れの職業だったのは昔の話。
急激な経済成長を遂げ、スタイリッシュな先進国となった魔界では、キツくて早死にする可能性のある魔王なんて、なりたいものなどいないのだ。
昔は魔界高校のトップが選ばれていたというのに嘆かわしい話である。
とはいえ、みんながなりたくないものに我だってなりたくない。
「決定事項はくつがえりません」
学校に必死の抗議するも突っ撥ねられる。
「最終的に勇者を抹殺すればいいので、どんな手を使っても構いません。勝手に頑張ってください」」
とのことだ。
あ〜⋯⋯。
将来、魔王になるなんて思ってなかったから、魔法も剣も全っ然勉強してなかった。
歴代史上、最弱魔王の誕生である。
まだ、見たいアニメもやりたいゲームも山ほどあるし、女子と少しでもいいからしゃべってみたいのに。
我はもうすぐ勇者という殺人鬼に殺されるのだ。
あ〜⋯⋯。
あ〜〜⋯⋯⋯⋯。
あ〜〜〜⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
「イヤだああああああああああああああああああん‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎ 死にたくなああああああい‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「…………」
どれくらいの時間が経っただろう。
自室で奇声を発しながら、絶望でのたうち回っているうちに眠ってしまったようだ。
ボーッとしている我の頭に、ふと生徒会長の声が響く。
「どんな手を使っても構いません」
「⋯⋯⋯⋯」
そうだ。
冷静になって考えれば、勇者といっても経験を積む前はただの一般人。
我の就任と同時に誕生したはずだ。
ただの人間なら背後から斬りつければよいのではないか?
ということで、今から勇者討伐へ向かう。
本当はいやだが可能性はこれしかないから。
ストレスとプレッシャーで溜まったヘイトは裏アカで吐き出すとしよう。