#極上の美女、#ドンペリ
「初めまして、ですよね?」
吸い込まれてしまいそうなパープルの妖艶な瞳。潤いがじゅわっとにじみ出るような赤い唇。陶器のように透き通った肌。
パーツのひとつひとつが美しく整っていた。
腰まである長い髪は瞳と同じ色で、ふんわりと波打っている。体にピタリと張り付いた漆黒のドレスは、いまにもこぼれそうな豊満なおっぱいを、かろうじて支えていた。
「ふふふ」
リコッタは微笑みながら我の顔を覗き込むと、ゆっくりと隣に座った。
見た目は妖艶だが、笑うと少女のように可愛いらしい。
(トルテちゃんも可愛いが、これはこれでアリっちゃアリ……)
甘くスパイシーな香りが鼻孔をくすぐる。
トロールとの会話に困って、血のワインを飲み過ぎたせいか、体が火照り、頭がポーッとしてきた。
「ねぇ、ふたりが出会った記念に、ドンペリで乾杯しない?」
今まで見たこともない極上の美女が、上目使いで我におねだりをする。
「あっ、ああ。そうしようか……」
思わずドギマギして思わず目を反らす。
「嬉し~い♡ じゃあ、オーダーするね」
リコッタが我の腕に、華奢な腕を絡ませてくる。
おっぱいがちょこっと当たった。
「ゴールドがいいよね」
リコッタがメニューを眺めながら、スラリと長い脚を組む。
ロングドレスのスリットが左右に流れ、白く艶めかし太ももがあらわになる。
(おおおおお!)
脚の付け根まで見えそうな、ギリギリ感に高揚する。
本当はじっくり見たいが、ガン見するのは紳士らしくない。
ここは携帯を見るふりをして、さりげなく視界に入れるとしよう。
「おや、ラインがきているぞ」
リコッタに怪しまれないように、呟きながら携帯を適当にタッチすると、先ほど保存したトルテちゃんの画像が現れた。
「あれ……?」
すると、モヤが晴れるように、ボーッとしていた頭と視界が一気にクリアになる。
「あっ、あっぶねぇ‼」
どうやら我はサキュバスの魔術にかかっていたようだ。
我に返り、慌ててドンペリゴールドをお断りする。
リコッタの舌打ちが聞こえた。




