"リーアム・ニーソン"の巻!
【リーアム・ニーソン】
北アイルランド出身
代表作:『96時間』『スターウォーズ エピソード1/ファントムメナス』『ラブアクチュアリー』
オススメ:『96時間』
以前の職場で、謎の研修に数日間行った。他の会社の若手の人とかも集まってセミナーを受けたり、面談をしたり、人生を振り返ったりして自己の理解を深めるようなものだったと記憶している。
その面談で趣味を聞かれ、映画鑑賞とウォーキングと答えた。そして「好きな俳優って誰ですか?」と尋ねられ、少々悩み、「リーアム……ニーソン?」と半ば質問返しの語尾で回答した。そうだな。リーアム・ニーソンと神木隆之介だな!
大泉洋と違って外国の方なのであまりピンと来てない方もおられるだろう。実際、研修先の人はリーアム・ニーソンを知らなかった。だがぁね。この随筆を読んでいる人は俺の身内(筬群さん、らてぃさん、牧田さん、インジュンさんなど)か、ネット上の映画に関するもの全てを骨の髄までペロペロシャブシャブしようとしている映画好きな方のはずなので、数少ない身内の方に説明すると、リーアム・ニーソンとは……
190cmを超える長身に、優し気なイケメン(というのにはそろそろ歳が……)ともコワモテともとれる顔立ち、スピルバーグからの信頼も厚く途中辞退したもののリンカーン大統領役を任されたりレッドカーペットを歩いたりするほどの演技力と、120分に満たない映画で30人近く殺してしまう最強の親父やジェダイマスターのようなアクションができる万能型の役者。
である。
特に『スターウォーズ エピソード1/ファントムメナス』のクワイ・ガン・ジン役、『96時間』のブライアン・ミルズ役、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』のハンニバル役は印象深い。そう、このオッサン、年齢を重ねてからアクションに力を入れ始めてきたのだ。
やっぱり『スターウォーズ エピソード1/ファントムメナス』は思い出深いなぁ。
映画の師匠とも言うべき存在である母のベストは『スターウォーズ エピソード4』。母にとっての『EP4』は特別であり、劇場で7回も観たそうだ。この母と『EP4』関連は、いずれやる予定の「ハリソン・フォードの巻」でやることにしよう。しかし、母にとっても『SW EP1』は待ち望んだ『スターウォーズ』、そんな母に育てられた俺と、毎回のように登場する親友モッチャン。『ジェダイの帰還』がまだ『ジェダイの復讐』だった頃の録画ビデオテープを持ってモッチャン宅(通称「2億の家」)で観たもんさ。
そんな『スターウォーズ』の最新作がいよいよ登場ゥ~!? 行くっきゃねぇぜ!
だがしかし! これも今後幾度となく登場するであろう「家から10分の映画館(通称『最寄り』)」はまだ存在せず、パソコンもなかった当時、映画の上映予定は新聞でしか確かめることが出来なかった。それでも我々は電車で20分足らずの池袋に行けば大体の映画はどうにか観ることが出来た。しかし……まぁ、おそらく載ってなかったんだろうな、母が見つけた『EP1』の上映映画館は電車で1時間の有楽町であった。あんな大作が、有楽町より近い池袋や新宿、渋谷でやってないはずがない。だが有楽町しか載ってなかったしネットもないんだよ!
もちろん俺たちは有楽町に赴くことになる。メンバーは俺、母、妹、弟、モッチャンだ。
モッチャンの存在は我が家でも好意的に受け入れられている。母同士が仲が良く、職業も同じだからな。後に手遅れになるとは知らなかった息子のいい映画仲間として母もモッチャンを俺の良き友人としていた。
当時はまだ『ポケットモンスター 金・銀』も出てなかったのかな? 電車内で『赤』をやっていた気がする。しかし、車中で尿意を催したモッチャンのために一時下車。その後有楽町の映画館に無事到着。
そんな思い出深い『EP1』の主役が、リーアム・ニーソン演じるクワイ・ガン・ジンだ。
厳しい規律に身を置くジェダイの騎士の中ではかなり異端で型破りな存在、神聖なフォースをイカサマに使ったりもするオチャメさん。頭のカッタァ~イ青年オビ・ワンやマスターたちの反対を押し切り、アナキン・スカイウォーカーをジェダイにスカウトする、という全てのサーガの始まりであり元凶の人物でもある。だがメチャクチャにカッコよかった。とにかくカッコよく、一気にクワイ・ガン・ジンの虜になった。それ故に彼が一作で死んでしまったことが残念でならない。このクワイ・ガン・ジン死亡の衝撃は俺とモッチャンの中に残り、『モンスターハンター』にハマり始めてからの連係プレイで、先にモンスターと会敵し、味方の合流を待たずに戦い始めて死ぬ失態を「クワイ・ガン・ジン」と呼んだ。「太刀(モッチャンは太刀使い、ムッシュは片手剣使い)で吹っ飛ばしてもいいからクワイ・ガン・ジンだけはするな」が合言葉だ。
そんなとにかくカッコイイオッサンリーアム・ニーソンの次の衝撃は『96時間』。
退役し、ボディーガードなどで生計を立てる元工作員ブライアン・ミルズ。別れた妻レノアとの間には年頃のお転婆娘キムがいる。キムがかわいくてしょうがないブライアンの異常性は、事件が起きる前からも少しずつ感じ取れる。キムが友達とパリに旅行に行くのに「心配だからパパもついていく」。嫌がられたブライアンの譲歩は「パパの番号が入った携帯を持つ」「毎日連絡する」などといった過保護なモノ。しかしアッサリとキムは人さらいに遭ってしまう。単身パリに乗り込む最強の親父ブライアン・ミルズ。娘への愛ゆえに狂気を漲らせるブライアンは「殺す」宣言を実行し、容赦なく次々に悪人を拷問・殺害し、パリを血に染めていく。その狂気とハイスペック、殺しっぷりはどこか『北斗の拳』じみた無慈悲さと一種のギャグテイストすら感じさせる。またもやリーアム・ニーソンの虜になってしまったという訳だ。
海外のメジャーな俳優には、フィックスと呼ばれる声優がついていることが多い。つまり専門の吹き替え声優だ。アーノルド・シュワルツェネッガーの玄田哲章、ジャッキー・チェンの石丸博也なんかはもう本人の声以上に聞き馴染んでいる。ナタリー・ポートマンには坂本真綾、ロバート・ダウニーJrには藤原啓治……。リーアム・ニーソンも近年はピッタリの声優、石田運昇氏がいた。石田氏による吹き替えも魅力の一つだった故に、彼の早すぎる死がとても悲しい。
リーアム・ニーソンはまだまだ元気。おそらく『96時間』シリーズの続きはもう出ないだろうが、リーアム・ニーソンには大暴れを見せていただきたい。