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ループラインの軌跡 パート2  作者: リノ バークレー
71/72

26-1(71)

 ―7番駅入り口付近―




『ふぅ~ やっと終わったわね!』


「大きな穴塞ぐのってホント大変よね~ 私もう動けないよ」とミカは

その場にへたり込んだ。

 それを見たリカは慌てて彼女に近づき声を掛けた。

「ミカちゃん大丈夫? アンタ、病み上がりなのにムリするからよ!」

とリカに軽く頭を撫でられた彼女は肩で息しながら「ところでショ―ちゃん

今頃どうしてるかな?」と呟いた。

 すると固く閉ざされた入り口付近を葉っぱで飾り付けするリンが「まだ

洞窟にいるんじゃない」と振り向きざまに答えるとうさぎクラブの3人以外

全員が一瞬不安げな表情を浮かべた。


(……!)

 

 いち早く不穏な空気を察し、自身もショ―タの安否が気になり始めた

リカは全員に呼びかけた。


「ねぇねぇ、これからみんなで洞窟に行ってみない?」


「そ、そうね~ それがイイかも!」 

  「ちょっと心配だもんね!」

    「まだ寝てたりして、フフッ!」

 

 そんな言葉とは裏腹に若干不安がよぎる彼女たちは一斉に立ち上がると

緊張した面持ちで照りつける眩しい朝日を浴びながらあの洞窟へ向かう事

となった。


――

―――

――――


 洞窟に到着し中を覗く彼女たちに待ち受けていたのはまさに驚きの

光景だった。


「ショ―ちゃん、何してるの!!」


 彼女たちが目にしたのは数本の縄で身体全体をグルグル巻きにされ必死

にもがき苦しむショ―タの姿だった。


「おっ、お前ら、早くこ、この縄ほどいてくれよ!」


 彼女たちは一斉にショ―タの元に駆け寄り縄をほどきに掛かったが、

大人の力でかなり強く縛られてるせいか手間取る様子に彼は次第に苛立ち

始めた。


「おい、早くしてくれよ!」

「ちょっと待ちなさいよ、今やってるでしょ!」


 ショ―タの異常なまでの焦り方に違和感を覚えたリカは下から顔を覗き

込むように焦る理由を尋ねた。


「どうしたのよ~ いつものショ―ちゃんらしくないわよ!」

「実はこの近くにこの村最大のお宝が眠る洞窟があるんだよ!

ついさっき奴の手下2人が向かったとこなんだ。だから急いでんだよ!」

とツバを飛ばしながら答えた。

「えっ! 手下2人って今朝ループラインで特区に向かったはずじゃ……」

「はぁ~ どういうことだよ、ちゃんと事情を説明しろよ!」と洞窟内に

ショ―タの声が響き渡った。

「実はね、ソラちゃんが3人を騙して特区に連れてく作戦だったのよ」と

リカが答えると彼は自由になった両手で頭を掻き毟るような仕草を見せた。

「どうして止めなかったんだよ!」とペナルティーの内情を知るミカに怒り

の矛先が向いた。

 するとリカが彼女を庇うように足元の縄をほどきながら今回の作戦に

至った経緯を説明し始めた。


「私たち全員止めたのよ! でもソラちゃんの意思は固くってさ……。

どうしても村を守るんだって、これが僕が唯一出来る事なんだって!

ショ―ちゃんだってきっと納得してくれるはずだし、もし彼なら僕と

同じ事してたと思うよって。彼、そう言ったのよ!」と彼女は最後に

残った縄をほどき終えた。


「そういうことだったんだ……」ともう2度と親友に会えない現実に

すっかり意気消沈するショ―タに対し、リカおよび洞窟にいる全員の

ボルテージは急上昇し彼女は突然全員に向かって声を荒げた。


「みんなっ! 何でもいいから武器になりそうな物見つけましょ!」


 そんなリカの掛け声に全員が即座に反応し、各自木片から砂や小石

など武器になりそうな物をかき集め、村最大のお宝が眠る第2の洞窟へ

大急ぎで向かった。


――

―――

―――― 


 洞窟にたどり着くと入り口付近にはカモフラージュで使われた板や

岩が散乱し、陽の光で中がうっすら見える洞窟の長さになんとも言えない

緊張感がショ―タ達を襲った。


「さぁ、入るわよ!」といつの間にか先頭に立つリカにショ―タは

「まぁ、待てよ!」と入り口の前に立ちはだかった。

「ショ―ちゃん、どいてよ!」とかなり興奮気味の彼女に彼はとりあえず

彼女のみならず全員の突入を制した。

「女子はまず身の安全に努めて欲しいんだ。つまり僕として戦いの参加は

認めないって事、これは村長としてのお願いだ!」

「この場に及んで何言ってんのよ! 今こそ村のため全員一致団結すべき

時じゃない!」と食ってかかるリカにショ―タは冷静に諭した。

「結論から言うとキミたちの腕力は7才程度なんだ。そんな力であんな悪党

2人を倒せると思うかい? それはキミたちよりも多少腕力に勝るレイちゃん

、ナオちゃんも同じだよ、所詮女子なんだからさ」

「じゃ~ どうするのよ?」と腕を組み、苛立つ彼女に彼は先ほどから

すっかり存在感が薄れていたコータの腕を突然持ち上げた。

「僕たち男2人で戦うよ。なっ!」とかなり困惑気味のコータとは裏腹に

ショ―タの目は真剣そのもので、完全に戦闘モードに入った彼はおもむろに

尋ねた。

「コータ君、キミ喧嘩したことある?」

「あ、あるわけないじゃないですか~ ショ―タさんは?」

「昔はしょっちゅう喧嘩したけど問題はこの身体なんだよな~」と中年太り

の身体をしげしげ眺めるショ―タにリカが一喝した。


「どうすんの! やるの、やらないの!」


「や、やるに決まってるだろ……」と彼女のあまりの迫力に圧倒された2人

はとりあえずショ―タが列の先頭となり洞窟の入り口から慎重に奥へ奥へと

進む事となった。

 洞窟内部は想像以上に広くそして長く、なだらかなカーブを描くその

道のりはまるで何処か別世界へ誘導されるかのような、そんな錯覚すら覚える

ほど神秘的なものだった。

 そしてしばらく歩き続けた頃、左側壁に小さな木片が打ち付けてあるのを

ショ―タは見逃さなかった。


【コノサキカンケイシャイガイタチイリキンシ・テン】 


「ベタだな~ テンちゃんは。こんなの書いたらこの先にお宝ありますよー

って言ってるようなもんじゃない」と苦笑するショ―タとは対照的に列をなす

全員は間近に迫る決戦に心震わせていた。

 

 ……そして遂にその時は訪れた!


「なんだ~ お前ら、そんな物騒な物持って。仮装パーティーか?」


 男2人は腕組みし、鋭い目つきでこちらを睨み付けた。


「お、お前ら、この村から即刻出てくか、それともオレ達と戦うか、どっち

なんだ!」とショ―タが洞窟に響き渡るほどの大声で彼らに迫ると男2人は

壁面にぶら下がる太く長い縄のような物をもぎ取り、振り回し始めた。


「お前、監禁生活で頭おかしくなったのか? それとももう一度縛って

やろーか? おっ!」と男たちはこちらにいきなり近づき縄を交互に何度も

何度も振り下ろした!


〈パシ――ン!〉

       〈パシ――ン!〉

              〈パシ――ン!〉 

〈パシ――ン!〉

       〈パシ――ン!〉 

              〈パシ――ン!〉



『うわ――っ!』『キャ――ッ!』


 あまりの迫力に僕たちは武器をほおり投げ、まるで将棋倒しのように

順序よく倒れ込んでしまった。


「なんだよ、情けね~な」「さっ、行くぜっ! お宝ちゃん待っててね!」

と男たちが再び縄を振り回しながら暗い洞窟の更に奥の方へ向かうと一瞬の

叫び声と共に男2人は僕たちの目の前から姿を消してしまった。


「あれ? 消えた?」

「うん、消えちゃった、よね……」


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