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ループラインの軌跡 パート2  作者: リノ バークレー
66/72

25-3(66)

 ―奴らがたむろする洞窟にて―



「また来たのかよ、村長さん。今度は何の用だよ」

「今朝、お前らおじさんをココに引っ張り込んだろ!」

「おじさんねぇ~」と男はなんともイヤな笑みを浮かべると『おい!』と

奥に向かって大声を発した。

 すると奴の手下と思われる男2人が縄でグルグル巻きにされた

ショ―ちゃんを両脇に抱え、まるで引きずるかのようにこちらに向かって

近づいて来た。 

 うなだれ、疲れた果てた様子のショ―ちゃんはゆっくり顔を持ち上げ、

ふと視線が僕の目に触れた瞬間なんとも申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 そんな彼に(ボクがなんとかするから、ショ―ちゃん安心して!)

という気持ちを込め「お、おじさん、大丈夫?」とぎこちなく問いかけた。

「うん、大丈夫さ、ソ……、いや、ショ―タ村長」

 お互い演技力に自信がなくボロが出るのを恐れる僕たちの会話はそれ

以降一向に進む様子がなく、そんな空気を嫌ったのか男がたまらず喋り

出した。

「まさかこのインチキ手品師とお前が友達だったとはな。世間って狭い

もんだな、まったくよ」

「で、ショ―タさんよ~ 一体何しに来たんだよ」

「はっきり言うね。そのマジシャンのおじさんを解放して欲しいのと、

キミたちには一刻も早くこの村から出て行って貰いたいんだ」

「はぁ~ お前何言ってんだ、その話はこの前断ったろ! それにこの村

にはまだお宝がいっぱい眠ってるんだぜ。出てくワケねぇだろ!」

「でもそんなの所詮お前の推測だろ!」

「ふっ、それがそうでもなさそうなんだ」と男はショ―ちゃんの肩を

何度も叩くような仕草を見せた。

「えっ? 他にも同じような洞窟があるの?」とショ―ちゃんに目を

向けると再び申し訳なさそうに無言で首を縦に振った。

「な、これで分かったろ! 実際このインチキ野郎が新たな洞窟の

入り口付近を必死に草木で覆い隠してるところをオレが目撃したんだ

からよ。さっ、もういいだろ、帰ってくれ!」と男は僕の胸の辺り

を軽く突っついた。

 そして男の合図と共にショ―ちゃんは手下の男たちに両脇を抱えられ

そのまま強引に洞窟の奥へ奥へと連れ去られてしまった。

 ショ―ちゃんの叫び声が響き渡る中、僕は思わずその場に手を付くように

座り込み、頭を下げ、何度も要求を受け入れてもらえる様懇願するも男は

終始無反応で表情ひとつ変えることはなかった。 

 そして男が洞窟の奥に消え去ろうとした瞬間僕は最後の勝負に出た。


「待ってくれ、僕と取引してくれないか?」

「はぁ~、取引だぁ~、お前に何が出来るんだよ」

「実は僕、特区の貸金庫に君たちが絶対欲しがる物預けてんだけど、

興味あるかい?」

「何だよ、一応聞いてやるよ」と男は再び手下を呼び戻し、2人がこちらに

近づいて来た。

「3つあるんだけど3つとも貴重な宝石の原石らしいんだ」

「ホントかよ~ 宝石にも色々あるからな。で、何の原石なんだよ?」

「3つともダイヤモンドって言うらしいんだ」

「ほぉ~ で、重さはどれぐらいだよ?」と3人の距離がいっそう近づいた。

「3つとも100キャラット越えらしいよ」

「お前、聞き間違えたんじゃないのか?」

「いや、間違いないよ、だって1つこれぐらいだったもん」と親指と

人差し指で実際の大きさを形どり男たちに向けた。

「しかもそのダイヤがそれぞれ特徴的でピンク色、青色、黄色と3色

揃ってるんだ!」と話した瞬間、奴らの目の色が変わったのを僕は

見逃さなかった。 

 あと一押しで騙せると確信した僕は具体的な価値について触れてみた。

「鑑定してくれた専門家によると研磨すると半分ぐらいの大きさになる

らしいけどオークションで最低1粒50億ぐらいにはなるらしいよ」

と具体的な金額を提示すると急に男たちは色めき立った。

「よし、もしお前の言う事が本当ならお前の要求を呑んでもやっても

イイぞ! ……なっ!」と男は手下の男2人に同意を求めると当然ながら

2人は目を丸くしながら大きく頷き、僕に具体的な取引方法について

聞いて来た。

「じゃ~ キミたち3人は明日の始発に間に合うよう7番駅の改札前に

集合してもらえるかな?」

「え~っ、オレ達も付いてくのかよ~」とあまり気の進まない手下2人に

「いいのか~ あの男にダイヤ一人占めされても……」と脅すと彼らは

すぐに納得してくれた。 

 そんな会話を聞かされ少々気を悪くしたリーダーの男は僕を睨み付け

顔を傾けた。

「お前、まさかオレ達を騙してるんじゃねぇだろうな。特区に連れ込み、

オレ達をペナルティーで老けさせた上でやっつけようなんて思ってない

だろうな」

「そんな事するわけないじゃん。僕だってペナルティー受けるわけだし、

この体見れば分かるだろうけど喧嘩は苦手なんだ。それにどうせ君たちは

アレ持ってんだろ!」

「何だよ、アレって?」

「ペナルティーで年を取らないって薬だよ」

「えっ、ま、まぁな……。お前、よく覚えてるな」と感心する男に手下

の一人が素朴に今回の取引に関する疑問点をぶつけてきた。

「オレ、不思議に思うんだけどさ~ そもそもこの村長と同じ時代に

オレ達入れんのか? それぞれのペナルティーによって時間経過が全然

違うのに」

 そのセリフを聞いた瞬間僕は凍り付いた!

(そっか~ う、うっかりしてた――、た、確かに奴の言う通りだ) 

「オイ! どうしたんだよ、顔色悪いぞ」との問いかけに動揺を隠せず

呆然としてる僕に男から思いもよらぬ答えが帰ってきた。

「心配すんなって! みんな同時に改札抜ければ同じ世界に入れるからよ」

「それって誰の世界だよ?」

「この4人の中で一番ペナルティーが重い奴の世界らしいぜ」

『そ、そうなの?』と僕を含め3人同時に同じ言葉を発した。

「あぁ、ちなみにこいつらは2人は特区未経験でオレは過去たった1回の

ペナルティーしか経験してねぇんだけどよ、村長は何回だよ?」

「僕は~ え~っと2回かな」

「じゃ~ 今回で3回目となるお前のペナルティーが優先されるって

ワケでラッキーなことにどうやらオレ達ダイヤにありつけそうだな」

「よ、良かったな」と初めて奴に救われ、絶望から一気に盛り返した僕は

勢いそのまま交渉の終結に向かった。

「もうこれで特に問題ないだろ。明日、キミたちの出発までに必ずおじさん

を解放してくれよなっ!」と念を押した上、奴らの気が変わらぬうちに

という焦りから僕は足早に洞窟を後にした。


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