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ループラインの軌跡 パート2  作者: リノ バークレー
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12-5(32)

「何よ~? 何ニヤついてるのよ」


 ……昨日に引き続き今日もレイちゃんのお家で飲み会。


「いや、なんかイイな~って」

「何よ、それ」

「前にも話したけど僕たちの村は7番村なんで精神面でも最高で7才

程度なんだ。だからある時期を超えると精神面で親と並んじゃうのよ」

「うん、うん、それで」

「だから些細なことでケンカしたり突如親が失踪したりするケースが

けっこうあって愛情に飢えてる子って意外と多いんだよ」

「へぇ~ ショ―ちゃんもそうなの?」

「えっ! ……ボクはそんなことないよ、ははっ、なに言ってんの」

「ほんとうに~っ」と急に彼女が顔を近づけて来るので僕は思わず

のけぞってしまった。

「何すんだよ、も~」

「ふふっ、心配しなくても私がショ―ちゃんの欠けてるピース埋めて

あげるわよ!」

「えっ!」

「だから私が埋めてあげるって!」


「……あっ! そ、そうだ。まだレイちゃんに見せてなかったよねっ」と

僕はカバンから布袋を取り出し自慢のストーンを無造作に机の上に並べた。


「凄いわね! どうしたのこれ?」

「レイちゃんにまだ言ってなかったけど実は僕、石屋さんもやってるんだ」

「石屋さんってアクセサリーとか売ってる?」

「いや、そうじゃなくって両替屋なんだ」

「へぇ~ つまりこのストーンはお金ってこと?」

「そう! でもココ特区じゃ価値ナシなんだけどね」「いつもご飯ごちそう

になってるのにお金受け取ってくんないから好きなの選んでよ」

「いいの?」

「うん! ごめんね、こんな安物で」

「いいわよ、そんなこと……、じゃコレ頂いていい?」と一番小さく少し

くすんだような石を選ぶ彼女に「コレにしなよ」と一番大きく僕一番の

お気に入りを差し出した。

「本当にこれ貰っていいの?」

「もちろんだよ! 石も喜んでるよ」

「ありがとう……、明日から夕食のグレードうんと上げなきゃね!」

「いいよ、これで」と和やかな会話がしばらく続いた後、レイちゃんが

質問を投げかけて来た。

「ところでショ―ちゃん、この石どこで見つけたの?」

「実はさ~」と再びカバンから村の地図を取り出し彼女に向けた。

「ほら、ココが昨日話したお花畑だよね。で、中に入らないで川と石垣に

沿ってず~っと左に進むとそのうち草木が生い茂っていて前に進めなく

なるんだ。 

 でも石垣と草木隙間を我慢して5メートルほど進むと洞窟があってココ

こそがストーンの発掘場所なんだ」

「へぇ~ なんかミステリアスね。それってショ―ちゃんが見つけたの?」

「いや、正確には2人で、なんだ」

「2人って?」

「実はボクが20才の時、つまり肉体年齢が、なんだけどテンちゃんって子

とよく遊んでたんだ」

「テンちゃんは幼なじみなの?」

「いや、テンちゃんは確か10才ぐらいだったかな……、でも精神年齢は

2人とも7才前後で妙に気が合ってホント仲良しだったんだ」

「へぇ~ なんか面白いね」

「で、ある日2人で探検ごっこしてる時に例の洞窟見つけてね。初めは

石でゲームしたりしてたんだけど段々飽きちゃって2人で他の利用法を考え

合ったんだ。ボクはアクセサリーにしようって言ったんだけどテンちゃんが

硬貨として流通させようって半ば押し切られたのが7番村のルーツなんだ」

「テンちゃんって先見の明があるのね」

「今思うと確かに凄いよね。で、洞窟の場所がバレると当然石の価値が

下がるからこれは2人の秘密にしょうって誓い合ったんだ」

「じゃ~ 2人で両替屋さん始めたのね」

「いや、始める前にテンちゃん急にいなくなっちゃったんで結局僕一人で

両替屋を始めたんだ」

「へぇ~ そうだったんだ」

「あれ? レイちゃんどうかした?」

「なんか嬉しいなって……、ショ―ちゃんが秘密にしてること私なんかに

話してくれるなんて」

「僕もよく分かんないけどレイちゃんに話したくなったんだ」と顔を上げる

とお互い目が合ってしまい急に気まずくなった僕は目をそらした。


 ……少し沈黙が続いた後、彼女がゆっくり立ち上がった。


「ごめん、ちょっと飲み過ぎちゃった。先に寝るね」

「大丈夫?」

「心配しないで、ショ―ちゃんはどうするの」

「ボク、もう少し飲んでていい?」

「いいわよ、ほどほどにね」

「うん、分かった」


 あぁ~ぁ 行っちゃった……。

 あっ! そうだ、ソラちゃんに電話するの忘れてた!

 

『あ~ もしもしソラちゃん、ショ―タだけど』

『来週の金曜日、8時に僕入れて8人予約お願いできる?』

『うん、うん、じゃ~ 宜しくね』


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