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河童の口笛

作者: みみつきうさぎ


(一)


 丸々と太った幼児の胸に、聴診器をあてる桐次郎の顔は、薄いカーテンを通って射し込む初夏の陽に照らされる。

 むずがる我が子をなだめながら、若い母親の顔には心配の色が浮かんでいた。

「軽い扁桃炎のようですね、薬を出しておきますが、もし、今、以上に熱が上がってきたりしたら、すぐに連れてきてください」

「点滴とかしなくても大丈夫でしょうか」

「炎症も治まってきているので、抗生物質をうつまでもないですよ、すぐにおうちでゆっくり休ませてください」

 桐次郎は母親の緊張をほぐすように優しく声をかけ、ぎこちない指先で机上のパソコンに、症状を記録していく。

 中年の女性看護師は、幼児の手を引く母親を診察室の出口まで見送った後、桐次郎からプリントされたカルテをファイルに綴じながら、いつものようにお節介な一言を言う。

「今のお母さんたちって、ちょっと熱出るとすぐに病院へ連れてくるんだから、私の小さい頃なんて、熱が少し上がったって、放ったらかしでしたよ、院長先生、そう思いませんか」

 彼女は、同意を求めるように桐次郎を一度見てから、そそくさと次の患者を呼びに診察室から出て行った。

 返事のタイミングを逃した桐次郎は白髪さえも抜け落ち、丸くなった自分の頭を一度撫で、おぼつかない操作で次の患者のカルテを画面に映しだした。

 桐次郎が勤務する綾織町立病院には、朝早くから身体の不調を訴える患者が多く訪れてくる。中には、たいした症状でもないのに、何やかにや理由を付け、毎日のように足繁く通ってくる老人もいる。桐次郎がたしなめると、文句を付け、口汚い捨て台詞を言って帰るが、そういう老人に限って次の日には、忘れたようにすました顔で、また桐次郎の診察室の椅子に座っている。

 桐次郎の毎日は、最近このような時間の繰り返しであった。

 病院の横から沢伝いに延びる林道沿いには、落葉松林が広がり、四季の移り変わりを細い針金のような葉が入院している患者の目を和ませていた。特に春先や秋口の頃になると、サンダル履きのまま入院患者が、看護士の目を盗み、山菜や茸の類いを病室まで持ち帰り、見舞いに訪れた客に振る舞うことさえあった。

 今は、雲の晴れ間を見計らうように落葉松の新緑の葉は天を目指している。

桐次郎もその静寂な雰囲気が好きで、その小径を歩き、小鳥のさえずりを耳にしながら、ぼんやり追憶に耽ることが多くなった。

 明くる三月の定年を直前にした桐次郎は、昨日あったことなどを忘れることはあっても、昔の記憶は消えないばかりか、より一層鮮やかな世界となって、記憶の一角を占めている。

 今日も小径の沢のせせらぎの音は、数十年という時の積み重ねさえも嘘のように、脳裏にその景色を映しだす。

お世辞にもきれいとは言えないこの地方病院に勤務した経験は、二度目である。

 一度目は、戦後好景気の狭間でもあった昭和五十三年。

 現在とは比較できぬほどの人口がいたこの街で、桐次郎は研修医を追えたばかりの新米医師として、多忙な日々の業務に追われていた。


(二)


 この一帯は、太平洋沿岸と北上川流域の地を東西でちょうど二等分した場所に位置し、古くから交通の要所であり、海産物と農産物との交易が盛んな地であった。また、いくつかの小さな鉱山もあり、明治から昭和の初めにかけて、良質の鉄鉱石が採掘されていた。

 しかし、桐次郎が赴任した時は既に、職を求める若者の都会への人口流出が止まらず、町中に過疎の波がひたひたと打ち付けていた頃であった。

「先生、なにどまづいだごとぉ、朝から酔ったぐれだなぃ、首たさぁ見れ」

 青年医師の桐次郎が聴診器を探していることに気付いた患者の爺は、彼の首にかけたままの聴診器を指さし、歯の少ない口を開けて笑った。

「やぁ、すいません」

 桐次郎は、申し訳なさそうに頭を下げ、血圧を測り始めた。

「先生、東京から来たって言うでねぇか、なんでまたぁ、こんなぜぇんご(田舎)さ来たんだぁ?」

「この町が好きだからですよ」

「わらし先生さぁ、わらしにもばれるぼが(嘘)吹ぐな」

 桐次郎の出た大学の学費は、地方の病院に勤務することを条件に免除されるのだが、出会う人ごとに何回も聞かされるその質問には、いつもこうやって答えるようにしていた。

 桐次郎は、年齢よりも幼く見えるその風体から、患者である老人たちは誰かれとなく『わらし(子供)先生』と愛着を込めて呼んでいた。

 夜は当直医として帰宅しない日が多い。

周囲から働き過ぎではないかと心配されることもあるが、彼は恥ずかしそうに苦笑しながら「仕事が遅いから」と話を軽く流していた。

 両親を早くに亡くしていたこともあり、親戚関係とのつながりも薄い彼に帰る場所はない。いまわの際まで母親から「しっかりと一人で稼げるよう勉強しなさい」と言われ続けていた彼にとって、今、こうして自分の居場所があることだけでも幸せであった。

 網戸にとまる大きな蛾の羽を細かく打ち付ける音が、静かな当直部屋に響く。

 やり残していた書類を整理していた桐次郎が、その音に顔を上げると、沢のせせらぎも思い出したように聞こえてきた。

そのせせらぎの音にかぶるようにして、彼は網戸の向こうに広がる深い闇から聞き慣れない音色を耳にした。

覇気の無い人間が奏でる口笛のようであった。

 桐次郎は、不思議そうに、椅子から立ち上がって声のした方角へ目をこらして見たが、そこには、ほのかに浮かび上がる木々の幹があるだけで、人影らしいものは見えなかった。

 突然、机上にある内線電話のベルが鳴った。

詰め所からかけてきた当直の看護婦は、息も切れ切れに、昼間、元気であった老人が病室のベッドの上で亡くなったことを桐次郎に知らせてきた。

 彼は書きかけの書類をそのままに、白衣を羽織って、すぐに当直部屋を飛び出した。


 死は誰にとっても避けられない関門である。

 秦の始皇帝はその門を避けるべく、徐福に命じ、海原遙かに越えた異国に不老不死の薬を求めた。だが、甲斐無く権勢の権化でもあった皇帝は齢四十九でその下をくぐっている。

 沈黙が破れたのは、駆けつけた遺族がその死に顔を見た時であった。死因が持病の心臓発作であったことを説明する桐次郎の口の中は乾いていた。まるで自分の舌が大きなスポンジのようになったようであった。既に覚悟はしていたのであろう、遺族は桐次郎をなじる訳でもなく、その死を冷静に受け止めた。むしろ受け止められなかったのは魂の器であった骸を前にした桐次郎自身であった。

 霊安室の祭壇に飾られた造花の花には、ぬぐうことのできない線香の香りが染みついていた。

 死亡診断書を書くために、診療室に戻った桐次郎は、自らの行いを振り返り、見落としていた事柄はなかったかを考えた。彼はそう考えながらも、責任を逃れようとする自分の行為を不快に感じていた。激しい目眩に襲われる桐次郎に、白々とした朝の光は、いつもの一日が繰り返されることを薄情に告げた。


(三)


「ゆうーべーな、河童さぁ、よく口笛ならしていたなぁ」

「なあに、あの河童ぁ、山口の爺がはがかった(亡くなった)のを皆に教えだのだべも」

 ベッドの上であぐらを組む老人らは、紙が破れかけたうちわを片手に言葉を続けた。病室を横切ろうとした桐次郎は、老人のもつうちわが、蛾の羽のように見えた。

「おお、わらし先生、気にすっごとねぇ、何たらみだぐねぇ顔して、極楽さ行ぐことなんて、あたりめぇのことだ、しづくねぐ(苦しそうにせず)、はがかったっていうでねぇか、まんず、それで十分だ」

 足を止めた桐次郎に、一番若い老人は声をかけてきた。

 老人の言葉を聞き、若い桐次郎は思わず涙がこぼれそうになった。

「んだぁ、河童さ、おだっでる(騒いでる)時は、としょり(老人)は、あっちの方にさがばれ(呼ばれる)んだ」

「河童に?」

「んだ、ゆんべ、ヒーフーと口笛鳴らしとっだではぁ」

 桐次郎が昨晩に聞いた音は、老人たちは口を揃えて河童だと言った。それもこの町の河童は全身が赤く、力持ちが多いので、馬でさえも川の淵に引っ張られることもあると桐次郎に力説した。

「ぼが(嘘)でねぇ証拠に、二又の婆に聞けぇ、あの婆さ、娘っ子の頃、何人ものかかの腹から河童ぁ子っこを何匹も取り出してんだ」

 二又の婆は、小さい桃の花のように可愛らしい笑顔の似合う八十代の老女であった。若い頃に東京へ行き、連れ添いを亡くし、独り身になってから子供たちの反対を押し切り、また、故郷に戻ってきたという珍しい経歴の持ち主であった。

 

 八月に入ると、木々の緑は一層深まり、蝉たちは我が物顔で病院裏の広い森を支配していた。

 彼らの賑やかな声に似た患者の診察を終えた桐次郎は、午後の回診までの休息を裏口脇のベンチでとっていた。この場所は風通しも良く、正面のミズナラの大木が葉をいっぱい繁らせ、ほどよい木陰をつくっている。

 いつ誰が付けた物だろうか、外碗の部分だけを残す鳴らなくなった風鈴が吊されたままになっていた。

「お婆ちゃん、また来るからね」

「いいのよ、お婆ちゃん、転んだらたいへんよ」

 母親とおぼしき水色のワンピース姿の女性と少女が裏口から出てきた。その後から、背を丸め、一歩一歩ではあったが、杖を頼らずに歩く老婆が見送りに出てきた。

 桐次郎が何気なく顔を見ると皆から二又の婆と呼ばれているヒサであった。

 老婆は、迎えに来たタクシーで母娘がこの場を去るまで笑顔で見送っていた。

「お孫さんですか、明るくてしっかりしていますね」

 老婆は桐次郎がそこに座っていることにはじめて気付き、恐縮して頭を何度も下げた。

「そんな、驚かすつもりはありませんでしたよ」

「いえ、娘たちに挨拶もさせないで、本当に失礼しました」

 前から桐次郎は気付いていたが、彼女の言葉になまりはない。むしろ、自分よりも標準語と呼ばれる東京の山の手言葉を自然に使っている。花にたとえるならば、この地に住む老人とは色、形が同じであってもその匂いは全く違う種類の存在であった。

 桐次郎はふと、以前に河童の話をした老人の話を思い出した。

「ああ、そう言えば、ヒサさんは河童を見たことがあるそうですね」

桐次郎にそう聞かれた彼女の表情が少しだけ変わった。彼女にとっては思いがけない医師の言葉であったのだろうか、いつもの小さい花のような笑みが消えた。

桐次郎は彼女の様子を見て、すぐに聞いてほしくないことがらだと覚った。

「今日も良い天気ですね、夏はこういう天気の方が合いますね」

「本当そうですね」

彼女は申し訳なさそうに軽い作り笑いをしながら、またもと来た病院への裏口へと、先程とは違った力のない歩みで戻っていった。

 光の加減であろうか、桐次郎には花壇に植えられた赤いホウセンカの花弁が、全て葉と同じ緑色に染まっているように見えた。


 それから幾日も過ぎたある日、外回りの診察を終えた桐次郎を、誰もいない病院のロビーで呼び止める声がした。

髪を短く切ったヒサが一人、右手をソファーの背もたれにのせたまま、静かに頭を下げた。

「ああ、ヒサさん、夕方のお散歩ですか」

「はい……あの、先生、ご相談があるのですけれど」

「ここではなんですから、今、診療室を開けますよ、待っていっていて下さい」

桐次郎はそう言ってから、鍵を開け診察室の少しがたつく扉を押し開き彼女を誘った。

 診察室に入ると、普段は、物静かなヒサはその日に限って、おずおずと自分から話を始めた。

「先生、自分が死んだら、今までしてきた罪は消えるものなのでしょうか」

 宗教的な突然の質問にどんな意味が込められているのか、彼には理解できなかった。しかし、目の前に座るヒサが、言っていることだけは確かだった。

「うん……ああ、もちろん消えると思いますよ、仏教だって何だって、あまり詳しくないけれどキリスト教だって、まして、ヒサさんのような方が犯すような罪なんて……」

 桐次郎はこう言いかけてから、大学で学んだカウンセリング術を思い出し、死の恐怖に向き合う患者に対しての言葉かけの単語を選んで使おうとした。

「先生、赤ちゃんを殺した手の感触がどうしても……どうしても洗い流せないのです」

 ヒサに似つかわしくない言葉を耳にした桐次郎は、茫然としたまま彼女の顔をただ見つめ返すことしかできなかった。


(四)


 彼女がこの町で生まれ育ったというのはどうやら桐次郎の思い違いであった。病院から十キロメートルほど北の山に入った谷間地に二又というところがあるのだが、どこそこの誰という表現を使う老人の言葉から桐次郎は、その土地の出身かと思っていたのだが、実は違っていた。

 元々、彼女は南部藩士の家であったそうだが、明治維新後も祖父の才覚で、何とか没落の危機を乗り越えたのだが、父の代の大正時代、生糸相場で失敗し、親戚のつてで借金をし、二又という手つかずの荒れ地に入植したということを知った。

 普通であれば、女衒を介して身売りされてしまうような生活環境であったが、彼女は、その当時には珍しく盛岡の高等女学校に通っていたこともあり、地元の山持ちの名士からすぐに仕事の声をかけられたということであった。

 昔を語るヒサは、先ほどまでの緊張の糸から少し解き放たれているように桐次郎は見えた。

「そこは、本当に多くのお女中さんや使用人がいて、私が以前住んでいた屋敷よりも比べものにならないほどにご立派でした。毎日のように釜石や花巻からも偉い旦那様方が大勢来られていました、この病院が建ったのもその頃のことです」

「ああ、それは聞いたことがあります、元々、鉱山会社の病院だったそうですね」

 その当時の建物自体は残っていないが、軽便鉄道が通う駅から鉱山に向かう道の途中でもあり、鉱夫街や街道からも近い立地条件を見てもここは最適な地であると桐次郎は思った。

「私は、旦那様の言いつけでこの医院で、看護婦さんの見よう見まねをする手伝い人として働きました」

「へぇ、ずいぶん優しい社長さんだったんですね」

 桐次郎の言葉に、ヒサは少しだけうつむき唇を噛んだ。彼女の顔がまた暗くなった。もしかしたら、彼女には、その男と人には言えない関係があったのかもしれないと桐次郎は憶測した。

 少し言葉を止めていたヒサはまた、ささやくような声で話を始めた。

「私はそこである人を紹介されました……今思うと、どうしてあのときに、断らなかったのか今でも夢に見ることがあります、でも、断ることなんてできなかったのでしょう、そのときに私が一番必要だったのはお金でしたから……」

 はじめは医師の目線で対応しようとしていた桐次郎だが、相づちをうつごとに、すべてを忘れてしまいそうになる自分を心の中で叱った。

だが、背中を丸めたヒサの後ろに立つ、彼女の娘姿の幻影は、つくり笑顔をする桐次郎を冷ややかに見つめていた。


(五)


 娘だった頃のヒサは自分を舐め回すように見つめる初対面の女に言いようのない不快感をもった。見慣れない形の眼鏡をかけ、パーマネントをかけたその女は、主人の平蔵に満足げにうなずいていた。

「平蔵さん、あんたの言うとおり利発で器用そうだ、今日から自由に使わせてもらうよ」

「取り分は二、八でいいんだな」

「はじめ、三、七っていう話じゃなかったのかい」

「ここの道具を貸す代金は別だ」

「さすが、できる社長さんだこと、まぁ、知らない土地だしね、もうこれから一本入っているから、これで失礼するよ、さ、お前、そこの荷物を持ちなさい」

 女に言われるがまま、ヒサは医療道具の入った風呂敷を持って、社長室から出た。

 ヒサはこの女が十も年が離れていないように感じた。そして、ハイカラな髪型に合わせるような洋服は田舎道にふさわしくないと思った。

 女は会社の門から出るや大きな吐息をした。女の眼は、鋭く後ろを歩くヒサに向いた。

「あんたもその年でごうつくばりの妾かい、あの蛇のような目をした男に抱かれて気持ち悪くないのかい」

 ヒサの心に研ぎ澄まされた刃物のような女の言葉が刺さる。

「へい、社長は貧乏なうちをお救いくださいました」

 そう言うヒサの視線は道ばたの雑草の上に落ちた。本当であれば女学校を卒業し、どこかの旧家の青年の元に嫁いでいたことであろう。だが、今は病院の手伝い婦であり、社長にとって都合の良い女の一人であった。

「買われましただろ、私はね、お前のような真面目なふりをしながら、男にしっぽと腰を振る雌犬が大嫌いなんだよ」

 彼女のとげのある言葉は、情けない自分の動揺を楽しんでいるようにヒサは感じ取った。

ヒサは自分の行く末を考えるたび、黒に一面塗られた憂鬱の底に沈む。親、兄弟を捨て、この土地をすぐにでも逃げ出したいと思うことがあっても所詮かなわぬ夢に過ぎなかった。

女の洋装は町人にも奇異に映るようで、通り過ぎるたび、顔をしかめたり、ヒソヒソ話に興じていたが、女はまったく気にするそぶりも見せず歩みを進めた。

一件の地主の屋敷の前に来ると突然ふり向いた女はヒサに向かって言った。

「いいね、お前、この屋敷の中で見たことは絶対に人に言うんじゃないよ、言ったらお前、鍬ヶ崎の座敷に沈めるからね」

 女の顔はヒサが昔見た狐の面のように両の目がつり上がっていた。


 土橋のお庄屋と呼ばれるその家の門を女がくぐると、すぐに使用人が迎えに来て、ヒサ共ども正面玄関に通された。

「先生、お待ちしていました」

奥座敷から走り出てきた主人とご内儀は女のことを先生と呼び、丁重に屋敷内へと招き入れた。彼女が女医であることをヒサは、ここに来て初めて知った。女医は、その当時の地方の町ではたいへん珍しい存在である。

ヒサは、ここの娘が思い病気にかかっているということを噂で聞いたことがあった。もう何か月も外に出ることもなく、人によってはもう治る見込みがないので、葬式の準備をしているというよからぬ流言も飛んでいる。

「何、グダグダやってるんだい、すぐに用意しな」

「へ、へい」

 女はこういう場面に慣れているらしい。臆す様子も見せず、手間取るヒサを急かし付け、先に急ぐ主人の後へ悠々と付いていった。


(六)


 二十畳もあろうかという広い畳敷きの部屋のちょうど中央に絹布団が敷いてあり、娘が寝ていた。ヒサが見たところ顔色はさほど悪くはなく、むしろ健康的で、ふくよかな印象を受けた。娘の周りには今、両親と女、ヒサしかいない。

「それでは先生、お願いします」

 娘の父でもある庄屋は、そう言うと不安顔の内儀を連れ、部屋から出て行った。残された娘は布団で顔を半分隠し、不気味なものでも見るように二人を見ていた。

「嬢様、ご心配ありません、嬢様のお腹の子が安全に生まれるように、私はここに参りました」

 女は膝を折って、娘の枕元で正座した。

「嘘、言わないで、どうせ父に頼まれて来たんでしょう、このお腹の子を殺すって」

 娘は仇を睨むようにして、女の顔へ横眼を使った。

「そういうことならば、取り上げ婆が、嬢様のところにまず来るでしょう、私は平蔵社長の紹介で、嬢様が痛くないように、お産に苦しむ嬢様のような方がこの世の中にいなくなるように、この地まで参りました」

 一つ一つ説明をする女の猫撫で声は、娘の警戒心を次第に解いていった。

「嬢様、痛みを減らすためには、二つ行わなければならない決まりがございます、一つは、この手ぬぐいを口にあて、上からかぶせる冷たい綿の空気をゆっくり、吸い込むことです、そうすると二百も数えないうちに眠ってしまいます、その間にお子が自然と生まれるのです。もう一つはこれが大切でございます」

 女は言葉を止め、娘の耳元に顔を近付けささやくように言った。

「子の父をお教えください、その名に合わせた調合をしないと効き目が減ることとなります、ご安心ください、ここには私と下女しかいません、この下女にも固く口止めしているゆえ、ご心配なく」

 ヒサには女の仕草と言動がまるで、子ネズミを丸ごと呑み込もうとする白蛇の化身のように見えた。

 娘は少し考えたようであったが、髪を優しくなで続ける女へ切れ切れに男の名を口にした。

「そうでしたか、それならもうご心配いりません。それでは舶来の医術を施すゆえ、今、しばらくお待ちください、何回も言いますが、全く心配は無用ですよ」

 女は、ヒサにお湯をはった桶を持ってくるように命令した。そして、慣れた手つきで包みから白い手ぬぐいと薬品の入った小瓶を並べた。

「長時間、この液が肌に付くと、かぶれますゆえ、できるだけ大きく息をゆっくり吸って、早く薬を身体に行きわたらせなくてはなりません、良いですか、ゆっくり、ゆっくりですよ」

 ヒサが用意を終えてきた時には、布団は剥がされ、腹が小山のようにはちきれんばかりに膨らませた娘が、股間をあらわに意識を落としていた。

「始めるよ」

 女は素早く施術の道具を広げ、茶色い小さな小瓶から注射液を吸い上げ、娘の腕に太い針を刺した。娘は小さなうめき声を上げたが、意識を戻してはいない。ヒサはオロオロとするばかりで、女の言葉の半分も聞いていない。怒鳴られながらも指示された道具を女に手渡していった。

 半刻も経たぬうちに、座敷に血や胎盤で汚れた赤子が生まれた。目の前で新たな生命が誕生したことに感動するヒサは、無事に生まれたことに疲れも忘れ、ほっと胸をなで下ろした。

「そこの晒に油紙を広げな」

 女の手に小さな汚れたままの産声を上げる赤子が抱かれている。ヒサはすぐに白い布を広げ、その上に小さく折られていた油紙を伸ばした。

 女はすぐに紙の上に赤子を置き、そして首に両手をかけた。

 一瞬であった。

 鳥のような甲高い断末魔の声であった。ヒサの目には血の色がにじんでいく白い世界であった。ヒサは念仏を唱えながら、目前の出来事に目ををそむけようとしたが、彼女の体は、自分の意思に反し、石仏のように身動きをすることさえ出来なくなっていた。

「お前、何してるんだ、早くこのメルドを晒でくるみな、何をぼさっとしてるんだい、ここからがお前の仕事だよ、先に屋敷から出て、病院の焼却炉ですぐにお骨まで焼くんだ、いいかい、お前がちょっとでも間違ったことをすれば、お前や両親がいる場所はこの世からすぐに無くなるんだからね、……何でこの仕事を社長からお前が任されたと思っているのか知っているかい」

 ヒサはようやく首を小さく振ることができた。

「お前は、親思いの正直で素直な子だっていうからさ」

 寝息を立てる娘の様子を伺ってから、そう言う彼女の目はまた、獲物を狙う獣のように細くなった。

 施術道具を洗い終え、荷物をまとめると、女は庄屋夫婦を部屋に呼んだ。そして、娘の身体に異常が無いことを伝え、最後に消えた赤子の父親の名を庄屋に教えた。

 名前を聞くや、庄屋は顔を怒りの色に染め、すぐに内儀にその男を別の部屋に呼ぶよう強く命令した。ここで働く下男の一人であったらしいが、女にとってはどうでも良いことであった。厚い札束を庄屋から受け取るとすぐに、ヒサを連れ屋敷を後にした。

 帰路の途中、女は札束から札を抜き取ると、拒むヒサに渡した。ヒサにとって、その金額は家族が一月は満足に暮らすことのできる金額であった。また、メルドは仏蘭西の言葉で『排泄物』を指す言葉であるということを女から聞いた。

「明日はもう少し遠い所に行くからね、そうだ、そのうちお前にも特別の看護服を用意しよう」

 仕事を終えた彼女は、屋敷の中での蛇のような面ではなく、意外なほどしとやかな女性の顔に変わっていたことにヒサは動揺した。


(七)


 半年も経つと、女医の評判は高まり、特に口のかたいことを重視する地位の高い者たちにとっては、なくてはならない存在であった。それに合わせヒサの暮らしも急に楽になり、はじめに抱いていた罪悪感も消え、むしろ皆から感謝されるある種の優越感の方が勝るようになってきた。

 女医もまた、真面目に働くヒサの仕事ぶりを気に入り、どこに行くにしてもヒサを助手として指名した。

 顧客は身体をひさぐ女が集まる公私問わない売春窟であったが、一番の上客はたいていが大きな会社の社長や地主の身内の不始末であった。特に、家の名が汚れることを嫌う名家ほど、驚くほどの金額を女に渡した。

 ヒサは不幸な子供らを分別の付かないうちに天に戻すという身勝手な慈悲の気持ちで仕事に臨んでいた。赤子を絞めるときは、鶏の首でも軽くひねるようにして始末をした。ある程度、成長した後、身体に不具合があると分かった場合は、女医が薬で眠らせてからその冷酷な治療を施した。

 それまで借地が主だった農地は、全てヒサの両親の財となり、両親は、自慢の娘だと会う度にヒサを持ち上げ、幼い兄弟たちも町の学校で勉学にいそしむことができるようになった。

 また、女医の計らいで、ヒサは助手の身分から、その病院の正式な看護婦となった。


 その日は、ある旧家の娘が患者であった。

 通された洋室のベッドの上に座る少女はその振る舞いから、一目見ただけで常人ではないとヒサは思った。十二、三歳くらいの少女は、女医とヒサの顔を見て、踊り狂うように手足をバタバタとさせけたたましい声で笑った。

ベッドの周囲には、小山のように西洋の人形だの鏡だのがあり、ヒサは、この少女の気持ちを和らげるために両親がふんだんに買い与えた物に違いないとふんだ。

 ネグリジェを着る少女の下腹は、空気を吸った蛙の腹のように膨れていた。

 ヒサは、暴れる少女の両手を縛り付けるのに少し手間取ったが、女医に鎮静剤を打たれるとすぐにおとなしくなった。見開いた瞳から流れる涙をヒサはガーゼで拭き取っていく。

 リンゴの皮をむくように二人はいつもの作業を淡々と進めていく。体内からもう一つの命を取りだした瞬間だけ、少女は本能的に身体を痙攣させたが、すぐにひっそりとなった。

「ヒサ、あんたこのメルドの父親が誰だか分かるかい」

 血の塊を手にした女医は、それをヒサの用意された油紙の上そっと置いた。

「実父だよ、彼女はその事実が受け入れられなくて、自分を捨てたのさ、吐き気のするような話だね、でもそれがこんなご身分の高い大臣様の秘密だなんて、面白い話じゃないか。ほら、このただのゴミになった物を見てご覧、生まれる時の場所をこいつらは選ぶことなんてできないんだからね」

 肉の塊に見えた赤子が、突然、大きな産声を上げた。

「哀れだねぇ、これでも生きようとするんだから」

 女医は人ごとのように言い、ヒサにおとなしくさせるよう命じた。

 部屋の中に黒い影が、蜃気楼のように漂って来た。ヒサはそのゆらめく影が父親の姿となり、いやがる少女を無理矢理手ごめにするのを見た。下半身を自らの血で汚し悲しむ少女と、麻酔で横たわる少女の姿は、花弁がむしられ、めしべだけになった百合の花へと変わった。

 ヒサが手をかけるまでもなく、その肉の塊の発する産声は小さくなり、疲れた人間の吐息のような口笛と変わり、そして影が消えると共に静かになった。


(八)


 その時期、女医のことを聞き回って歩く男の噂をヒサは耳にした。女医にそのことを耳打ちすると、気にする風を見せずに、ヒサにいくつかの用事を言付けて、午後の診療の準備をしていた。

 町に出て、言われていた雑貨を買い終えたとき、店の横からヒサの名を呼ぶ声が聞こえた。一見、知り合いの書生のようにも見えたが、無造作に伸ばしたひげと革製の肩掛け鞄を見て、会ったこともない別人であることに気付いた。

 男は、物陰にヒサを招き女医のことについて聞いてきた。その男は、ヒサが信頼されている助手ということも知っているようで、知っていることを話せば相応の謝礼をすると申し出てきた。

 彼の口からは『子殺し』という単語が繰り返し発せられた。

 知らないと断るヒサに男はしつこくつきまとい、しまいには「実はお前も共犯者なのだろう」とおどす始末であった。

 病院に逃げるように戻ってきたヒサは、すぐに女医に、ことの始終を報告した。


 次の日、その男の死体が、近くの川の淵に浮かんだ。検死は地元の警察から依頼された当の女医が行い、酔った上での溺死と診断された。町の者たちは、その川に河童が住んでいたという言い伝えがあることから、よそ者が河童に引っ張られたと口々に噂をした。

 その日の夜、ランプの火の中、新聞記事を読む女医は、声を上げて笑った。

 ヒサはその裏を取り巻く見えない姿に恐怖を抱いた。

「私はね、この地で必要とされているんだよ、だから、河童が守ってくれたのさ」

「河童……」

「ヒサ、ここの河童の顔が赤いのはなぜだか知っているかい」

 思い当たる理由をヒサは察したが、女医に直接その答えを言うのは、はばかった。

少女の流される血、必死にもがく奇形児、人形を抱いたまま絞められていく幼子、ヒサの抑えていた感情と情景が鉄砲水のように一気にあふれ出した。

白く焼かれた小さな骨を鉢の中で潰すとき、骨と骨のぶつかり合う音は、荒い息を吐き出す度に澄んだ響きをたてた。

ただのカルシウムに変じた骨の粉を川に流すとき、それは水の中で一本の光の帯を織り上げ、そしてすぐに陽に輝かせる波の渦の中に押し流されていった。

川のせせらぎは彼らにとっての唯一の読経となり、風にその首を揺らす土手に咲く野紺菊は参列者の役割を演じた。

 ヒサの長い沈黙を破ったのは口笛だった。

その音は、消されていく赤子の産声にたいへんよく似ていた。

(河童が泣いている)

ようやく窓の外に続く暗闇をかき分け、庭のミズナラや落葉松の葉ずれの音が二人しかいない夜の診察室に聞こえてきた。


 秋も深まった頃、ヒサは自分が身ごもっていることに気付いた。

 そのことを相手の社長に話すと、一言、「女医の世話になれ」と冷たく突き放した。ヒサは誰にも言えぬまま、女医の仕事を手伝っていた。

 だが、ヒサは赤子の首を絞めることができなくなっていた。体液で濡れる首に手をかけようとする度、胸の奥から嘔吐感がわき上がり、自分の仕事が出来なくなっていた。

「お前はいつまであの貧乏神に飼われているつもりなんだ、お前、今、月のものがないのだろう、このまま生むつもりなのか、それとも……」

 仕事の帰り道、そう話しかけてきたのは女医であった。

 ヒサは、施術道具の大きな荷物を抱えたまま立ち止まってしまった。

 社長の鉱山会社は、産出量が著しく下がり新しい活路を蝦夷地の炭鉱に見出していたが、そう簡単に話は上手く進んではいない、ヒサに対する給金は女医からもらう金額の十分の一ほどに落ちていた。

「図星かい、ただね、あれだけメルドを捨ててきた私やお前が生むってことはこの辺では恨みを買うばかりだ、あの、馬鹿男だってほっときゃしないよ、どっちみちお前の腹のメルドに良いことなんかありゃしない、自分でひねることはできるかい」

 黒い革製の鞄の上にヒサの涙が円をいくつも描いた。

「ヒサ、お前は賢いようで本当ににぶい女だね、まるで昔の自分を見ているようだよ」

 この時の女医の言葉は、むしろ哀れみを帯びていたようにヒサは感じた。

 稲木も片付けられ活気が消えた田が朝、夕、深く霧に包まれる頃、ヒサは家族を捨て、この町を出ようと決心した。


(九)


 朝、ヒサは一番早く立つ花巻行きの汽車が到着する頃を見計らって、小さな荷物ひとつを持って、駅へと急いだ。

駅に着くと、驚いたことに女医が改札の前に立っていた。

ヒサを待っていたようであった。

言い訳をさがし、混乱するヒサに女医はつかつかと歩み寄り、厚みのある封筒を押しつけるように渡した。

「この中に、未払いの給金と紹介文が入っているよ、お前だったら使わないかもしれないけどね、ただね、お前がやった仕事で助かる女もいたのは確かなんだ、誰もが解決できるほど、この世のほとんどの女は強くない、その女の業を誰かが引き受けるしかないんだよ、それが私であり、お前だったんだよ、どんなに逃げてもその事実だけは、どこまで離れても離れやしない、それだけは忘れるんじゃないよ」

 女医の言い方は今までに聞いたことのないほど優しい口調だった。封筒の口からは、折られた紙と、手当以上の札束が覗いていた。

「先生……ごめんなさい」

「馬鹿だよ、お前は……ただ、私よりヒサ、お前は賢いよ」

袖を涙で濡らすヒサを見送ることもなく、そう言って女医はすぐに駅を後にした。

 汽笛が鳴り、客車が動き出すと窓の外に黒い煙が後方に流れていく。混み合う乗客の発する息は、窓ガラスを曇らせ、故郷の山河の景色をヒサの視界から消していった。


(十)


「私はそれから、東京の病院で看護婦となり、結婚もせず、女手一つで娘を育てました、途中に大東亜戦争もありましたが、幸い、住まいも空襲で焼けることもなく、このような年となり、孫にも恵まれました……ただ……あの時、逃げ出してきた自分があまりにもずるくて、卑怯で、いつもそのことばかりを考えていました……人を殺めてきた私が」

 ヒサのハンカチをもつ手が震えている。

「だから、あなたはこの町に戻ってきた」

 事実を聞き終えた桐次郎は静かに言い、話を続けた。

「ヒサさん、あなたがやってきたことは間違いではないと思います、人が……それぞれの人が生きていくうえで、どうしても避けられないものはいくつもあります、その避けられないものの壁が女医さんであったり、ヒサさん、あなただったのでしょう。その女医さんはむしろ、あなたがそういう生き方をしてくれるのを強く望んでいたのではないでしょうか、僕はそう思います」

「私のしてきたことは……」

「僕たち、医者も同じですよ……元気になってもらいたい人が、その施しもむなしく亡くなっていく……あの時、そうしていたら、助かったかもしれない、自分の力がもっとあったらと……今、ヒサさんの手の感触を治す薬はありません、その女医さんはすでにあなたに処方箋を与えていたのだと思います、どんなに逃げてもその事実は離れない、だからそれも受け止めた上でしっかり生きなさい、その子供をしっかり生んで育てなさい、それがあなたのできる一番の仕事なのだと」

 ヒサは、桐次郎の正直な言葉を聞き大声を上げて泣いた。

 自分の医者としての道筋に迷いかけていた桐次郎も、涙こそ見せなかったが、胸にこみ上げるものが止まらなくなっていた。

「それが今の僕がヒサさんに言えることです……」

 それから一年ほどしてヒサは老衰で亡くなった。娘や孫に囲まれ、その死に顔はたいへん穏やかで、誰もがそのようにコロリと逝きたいものだとうらやましがった。

 また、いつものように桐次郎の青年医師としての忙しい一日が始まった。


(十一)


 沢伝いの散歩道を歩きながら桐次郎は、丸くなった自分の頭を一度撫でた。あの七、三に分けていた豊富な黒髪は過去の思い出の中に消えていた。

 それから桐次郎はいくつもの病院を渡り歩いた。桐次郎の治療の腕の良さを聞きつけ、都会の大病院に勤務しないかという誘い話もあったが、それは自分の性に合わないとすべて断っていた。

落葉林の奥の方から口笛が鳴った。

まだ、陽は高い。

 桐次郎はもうその口笛の主が鳥だということを知っていた。入院している患者の中にも、それが河童の口笛だと呼ぶ者はもういない。

 散歩を終え、桐次郎は床のきしむ院長室に戻ってきた。

 部屋の壁には、歴代の院長の写真が古いものから飾られている。その一番、古い写真の中に、女医の写真がおさめられていた。

女医は多くの命を救い、人々に感謝され、地方医療のさきがけとして多くの賞を受けたことが病院の沿革誌に功績として残っている。

 退職の日まで、桐次郎は今、その美しい女性の写真を眺めながら夜の院長室で一人酒をたしなむことを密かな楽しみにしている。

    




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