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僕らのイバショ  作者: 山里千華
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教師の会合

 とあるカラオケボックスに彼らはいた。梅花の常駐教師陣、二十人以上が集まるのは珍しい。


 梅花のコンピューター類を全て管理している神谷は、モニターから中々目を離せないために欠席が多い。旭は校長の許可もなく勝手に遊びに行っているので、常駐のはずなのに居ないことがほとんどで今までの会合を全て欠席している。熱海は、そんな旭を探しに出るので居ない。

会合欠席三人衆が今回は来ていた。


「で、今年度の担当は?」


 柏木がにこやかに尋ねた。教師の中でも比較的温厚な柏木。彼は会合を欠席したことがない。常に笑顔で、学生時代のあだ名は仏様だとかお釈迦様だとか、神様系統のものだった。

 この会合は、今年度の新入生のスカウト係を誰がやるかを決めるためのもの。普段なら欠席三人衆は来ない。毎年毎年同じことをしているからだ。だが、今年は事情が違う。多少強引な手を使ってでも連れてくる必要があった。


 今年、現総理大臣の三河徹が近いうちに憲法改正をすると発表したのだ。

 三河は戦争好きな男で、日本の戦争否定主義を疎ましく思っていた。生ぬるい憲法改正も嫌っていた。『やるなら大幅に変えてやる』と意気込み、三河内閣が世間的にも安定した頃を見計らって憲法改正を試みようとしているのだ。


 しかし梅花はそれを望まない。コチラ側の情報が漏れると、万が一にも戦争が始まってしまった場合に必ず兵士として駆り出されてしまう。それだけは避けたかった。

 確かに、梅花の人間は強い。バリバリ現役の米国最強の殺し屋である旭や、ハッキング、プログラミング、ウイルス作製、機械類を扱わせれば右に出る者は居ない神谷、霊能力を駆使して人間の脳を操る、操り師アーニャなど、チート集団としか言い様のないプロが大勢いる。

旭は喜ぶだろうが、一組織としては戦争だけは避けなければならない。


「今年は、能力持ちを条件に加えましょう」


校長は言った。が、


「能力持ち?だったら俺はパス。持ちの担当は絶対ヤダ」


当然のような旭からの言葉。


「ワガママ言うなよ。お前、そろそろ良いんじゃないか?」

「……熱海先輩には分かりませんよ。能力持ちを誤って殺しても許してくれるならやりますけど」


不敵な笑みで挑発する旭。暗い瞳に殺意が宿る。殺し屋モードになった旭は誰にも止められない。アーニャの操り術を持ってしても、予測不能な思考回路の旭は操れない。



「降参だよ。もう敵じゃない」


フッと緊張感が解けた。もう旭は殺し屋モードではない。



夜も更けていくこの場所で、一つ悲鳴が響いたのを、彼らは知らない。

※犯罪や戦争を肯定しいているわけではありません。

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