急に数年後に飛ばされたら動揺する。
春。暖かい季節、皆が緩くなる時期。そして今日は中学校入学式。長かった6年間が終わり新しい学年が始まるのだ。まだ着慣れてない制服を身に着け玄関へと向かう。
「直哉おはよう!!」
後ろからよく聞く声がしたので振り返ると俺の友達が立っていた。
___黒ひげ危機一髪を手に持って。
「・・・・なんでそんなもの持ってるの?」
「ん?何でってこれで遊ぼうと思って、一緒にやろ!!」
こいつの名前は井上末田。もう一度いうが俺の友達で幼馴染でもある。何をするにも大ざっぱでとにかく落ち着きがない。全く手に焼ける奴だ。
「やらねえよ!これから入学式だぞ!」
「えーいいジャン別に」
「よくないから言ってるんだよ!!ほら行くぞ!」
マツダを説得し、教室へと向かう。今日から中学生新しい仲間が増えるんだ!!!
~1年後~
「あーもう俺たち2年だなー」
「そうだねー」
俺たちはマツダの部屋でだらだらと・・・・・
「どうなってんのおおおおおおおおおお!?」
「うわあ!!!どうしたの、直哉!?」
「だるすぎて頭がおかしくなったんじゃないか」
俺の叫びに驚くマツダと何事もなかったかのような態度を示す吉春。2人には分からないのか?
「なんかすごくワクワクしてたのにいきなり1年後!?なにそれ!何なの?これが日常系の宿命なの!?ええ!?」
「おいおい、直哉。お前本当におかしくなったんじゃ・・・?」
「大丈夫?」
二人は何かを言っていたが、その声はよく聞き取れず何かが心の中で切れた音がした。
「・・・なあ、マツダ、吉春」
「な、なんだ?」
疲れ切った俺は懐からあれを持ち出し、二人に問いかけた。
「黒ひげ危機一髪やろうぜ?」
(黒ひげ危機一髪!?)
「おー、やろうやろう!!」
さーて、1年間積み重ねてきた能力を今、解き放つ!!!記憶ないけど。