表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
4/167

ジュッキー

 翌日和輝が目を覚ますと、隣に咲希が寝ていた。

「どぅっわ!」

 驚きのあまり、和輝は起き上がりそう叫んでしまった。その声で、咲希も目を覚ましてしまう。

「……づひゃっ! 何でお前がいるのだ」

 咲希は目を覚ました瞬間、布団から和輝を蹴り出した。

「痛っ。何すんだよ」

 床に打ったお尻を撫でながらも、和輝は咲希の方を見る。

「私の部屋から出てけ、変態!」



 なぜこうなったのか。話は先日に戻る。


 それは咲希が自分の部屋で、眠りに付いたその後。

「あんたが、新人のジュッキーだっけ?」

 和輝は、少女に話し掛けられた。

 ギリギリ肩に掛かるくらいの、こげ茶色の髪。大きな瞳は黒く輝いている。真っ白で薄い布を身に纏っているが、かなり露出度の高い格好であった。和輝はつい、すらりと伸びる細い足に目を向けてしまっている。

「ジュッキー? まあそれよりさ、ここってどこなの?」

 呼び名に不思議を抱きながらも、とりあえず和輝はこの場所を聞いた。そうすれば、自宅を見つけることが出来るかもしれないと考えたからだ。

「どこって? えっと、千葉県って言えばいい?」

 和輝は、訳が分からなくなった。心のどこかでは、異世界や戦国時代を期待していたから。しかしそれなら、詳しく地名を知れば帰れるかもしれないと思った。

「……戦国時代だと思ったけど、千葉じゃ違うんか」

 だがやはり、アニメ好きとしては少し残念という感想だった。

「何か言ったか? おい、そろそろ寝た方がいいぜ」

 本当に意味の分からない子だなと、首を傾げた。和輝にそう思われるならば、相当のことである。

「疲れてるだろ? 早めに休んどけ。安心しろ、殺しはしないから」

 その言葉に和輝は、優しい子だと認識した。とても騙されやすい性格なのである。

「ここが客用の部屋だ。にしし」

 少女の言葉を素直に信じ、和輝はその部屋で寝た。

 しかしその部屋は咲希の部屋であり、布団の奥には咲希が隠されていた訳だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ