表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
3/167

会議

「皆に紹介する。こいつは新入りの三村和輝だ」

 会議室に集まると、咲希はいきなり叫んだ。

「よっしゃ、じゃあ会議始めんぞ。議題は……何処を滅ぼすか、だっけ」

 元気にそうは言うが、咲希の表情は全然笑ってなんかいない。真剣そのもの、そんな感じだった。

「確かになんとなく合ってますけど」

 苦笑い気味の一葉、しかし他の皆は咲希の可愛さに騙され掛けていた。咲希は和輝を座らせると、高々と宣言した。

「川上家をぶっ倒してえ」

 これは、咲希の心からの言葉であった。しかし、叶わない言葉でもあった。

「「はあ?」」

 川上家は、大国を築いていて、咲希の小国が倒せるようなところではない。それは咲希自身が一番理解していた。

「それはちょっと、調子に乗りすぎじゃあないでしょうか」

 一葉の言葉に、皆が頷く。いくら咲希の可愛さにメロメロとは言え、冷静な判断くらいは出来る。

「えー。なら、慶喜殺してえ」

 慶喜とは川上家の五代目当主で、女好きの変態だ。その上我が儘で、欲張りで評判も滅茶苦茶だった。咲希も以前拐われたことがある。

「人質にされるのは他にもあったけど、奴だけは、目的が違った気がすんだよな」

 そのときのことを思い出し、咲希は自分で気分を悪くし掛けた。

「それは思いますが、力に差があり過ぎます」

 倒したい、それは他の人だって思うことだ。しかし、倒せたいと言って倒せるような相手じゃない。

「えー、なんでー」

 咲希は、可愛らしく頬を膨らませた。

「弱い国から消していきましょう」

 可愛さに負けないように、冷静を保ちながら一葉はそう言う。

「そうだな。じゃあ高橋」

 だから咲希は、吐き捨てるようにそう言った。

「え……、あっ。はい、私は賛成です」

 高橋というのは、高橋雄大という男が当主の小国だ。雄大は臆病で慎重な性格で、他国との交流も殆どない。

「咲希様、奴はとても臆病。戦う必要も無いと思われます」

 だから一葉は賛成した。勝利が完全に見えているから、笑顔で賛成したのだ。誰も反対意見を上げもしない。

「分かった。決定な! 私はもう寝る」

 だから咲希はそう言うと、部屋を出ていってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ