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サクラのキセツ 陽  作者: 斎藤桜
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初仕事

 どうすれば成功するか、咲希はしっかり考えていた。だから自信に満ちた表情をしていた。

「成程! さすがは姫様ですね。しかしあの楓雅に、ばれないようになど出来るんですか?」

 それでもまだ、一葉は心配だった。いくら咲希とはいえ、楓雅に勝つのは難しいと考えていたのだ。咲希が楓雅の実力を把握できていない、そんな事を思って不安になっている。

「大丈夫だって。いくら楓雅だってさ、豚の無能さは分かっているんだろう? それにあの忠誠心、見事なものだ。豚に何かあれば、引き返しちゃうんだろうね」

 成功をほぼ確信した咲希は、ニヤニヤと笑いながら言った。その様子を見て一葉は、自分が咲希のことを疑っていたのが恥ずかしくなった。なぜなら、咲希の今の言葉だけで一葉まで成功を確信してしまったからだ。

「姫様、具体的にはどうなさるおつもりで?」

 そう問い掛ける一葉の表情からは、もう不安なんて感じさせなかった。こんなことで一葉は安心してしまっているのだ。今まで勝ち続きで、恐怖を忘れてしまっているのだろう。

「咲希! 深雪に一仕事任せてくれない? ぼこぼこにされた借り、早く返してきたいんだけど」

 ヤル気満々といった感じで、深雪は咲希に言った。

「今のお前には無理だ」

 しかし咲希は深雪に対して、冷たくそう言った。多少とは言え、今の深雪は怪我をしている。それに、疲れもあって体は思うように動かない筈だ。そんな深雪に仕事させるなんて、咲希は出来なかった。

「深雪は出来るよぉ」

 その想いは分かっていても、深雪だって譲りたくなかった。彼女も殆んど負けたりしないから、敗北はとても悔しかったんだ。

「無理だ、城で待ってろ」

 何度深雪が頼もうと、咲希は冷たく返すだけだった。冷たい表情をしているのだが、咲希は温かいから深雪を行かせなかったのだ。しかし心配しているのが恥ずかしくて、冷たい表情を装っている。

「そうだな、ふん。この仕事、変態に任せよう」

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