変態が好き
「にっしっしっし。ジュッキー、深雪が守ってやるよ」
咲希が指を鳴らすと、即座に深雪が現れる。そして実に彼女らしく笑い、和輝の横に並び咲希に一礼。準備を済ませ、出発に備えて眠りに付いた。
翌日早朝すぐに、和輝と深雪は玲奈の城を目指して歩き出した。大好きな二人を大嫌いな人のところへ、それが咲希は物凄く気に入らない。しかし和輝の想いを無駄にしない為、笑顔で二人の背中を見つめていた。
「結構な距離があるし、歩いて行けばかなり時間が掛かる。何日も咲希と離れ離れで深雪と二人きりなんて、ジュッキーも嫌でしょ? 交通方法を選んで」
城を出た辺りで、沈黙が苦しくて深雪は問い掛ける。暗い顔をする和輝を笑わせたくて、それでも前のように悪戯が思い付かなくて。普通に話し掛けた。
「一つ、深雪になんとか着いて来る。二つ、深雪が持っていく。三つ、馬で行く。四つ、歩いて行く。五つ、やっぱり怖いから帰る。どうしようか」
笑顔を浮かべない和輝。だから深雪は覚悟を疑い、少し意地悪な選択肢を与えた。それに驚き、和輝は悩みながらも小さな声で答えようとする。そしてその間違いに気付き、笑顔で元気に答え直す。
「二つ目をお願い出来るかな! だって、勿論深雪ちゃんが俺を抱き締めて行ってくれるんでしょ」




