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疑惑

「日良！？　お前、まさか……。どうゆうことだ」

　しかし咲希は、それを悪戯として捉えてくれなかったらしい。咲希は日良のことを、鋭く睨み付けた。

「どうゆうこととは？　私はただ、咲希様を驚かせようと思っただけですが？」

　日良はニコニコと笑い続けていた。本当に咲希の事を想う訳ではないが、深雪のお願いを聞かない筈がなかった。だから今回は、本当に咲希を驚かせようとしただけだったのだ。

「気持ち悪いなあ、ニヤニヤすんなよ。んで日良、何がしたい？」

　深雪の様子を見て、咲希はやっと信じた。そして日良が何を狙うのかを問い掛けた。得のないことで動く筈がない、そう考えたからだ。

「あれ、咲希？　どうしたんだ？　なあ、どうしたんだよ」

　咲希の反応が予想と違った為、深雪は戸惑って咲希の周りをウロウロした。彼女が期待していたのは、笑顔で軽く叩いてくれるような。笑顔で擽ったりして来るような、そんな反応だった。

「深雪、城を奪うって？　どうゆう意味だよ」

　まだ信じ切れていないのだ。ただの悪戯だと、深雪の様子で信じてはいる。しかし、疑い深い咲希はまだ警戒していた。

「えっ？　あれは、いや……咲希をビックリさせようと思っただけで」

　深雪はただ、咲希の周りをウロウロとしていた。

　和輝はただ、「？」を浮かべていた。

　一葉はただ、何もせずに日良を見ていた。

「さすが、咲希様ですね。ふふふふ。では、さようなら」

　日良はそんな四人の間を通り、去って行った。自分の任務はもう終わった、とでも言わんばかりに。とても、愉快そうに微笑んで……。