希望
一葉は、首を振った。笑顔で、無理してでも必死に浮かべた笑顔で。
「でも豚んとこも、勝手に滅びそうなんだよな」
確かに勝手に滅んでしまいそうではあった。何もしなくとも、いずれ民が怒りだすだろうから。
「姫様、それでも油断してはいけませんよ! あの楓雅殿がいるんですから」
しかし一葉は咲希に同意しなかった。楓雅と言うのは林太に使えている将で、文武両道に秀でた上に絶対に裏切ることもない完璧な人間だ。それも、名門川上家の名字を持っている。
「奴は確かに怪物だな。人を見る目がなかっただけだ。もっと良い奴に最初仕えてれば、もっと良い人生送れただろうに」
咲希はこう言ったが、楓雅は林太の軍でとても良い対偶を受けている。さすがの林太も、楓雅のことを失いたくはなかったからだ。民からの信用を無くそうと、楓雅にはいて欲しいと思っていたからだ。
「何の話? 俺にも分かるように言ってくれないかな」
和輝は、なぜか踊りながら言った。分からないのと、笑わせたいの思いで。
「お前が分かる必要はない! 変態め!!」
きつく咲希にそう叫ばれても、和輝は浮かれた顔で踊っていた。
「咲希~! ジュッキー! 面白い情報が入ったぞ。豚の城が燃えとるらしい」
そこに深雪が走り寄って来て、そう叫んだ。




