新たな七不思議、参上したってよ。
無事、住む家が決まった。
ひとまず俺たちは、それぞれの部屋を決めることに。
俺とピグは職員室。
金次郎は校長室。
鏡少年は音楽室。
ここの音楽室は鏡が沢山あったようだ。
「右も左も鏡だらけです!」
「ぴったりだな」
「ありがとうございます!」
大喜びだからよしとしよう。
人体模型はその横の空き教室。
花子さんは当然――
トイレだ。
だが問題が一つ。
家具がない。
結果。
その夜は全員、
保健室で寝ることになった。
ピグが布団代わりの毛布にくるまる。
「おや…ぶ…み…!」
「おやすみ」
静かな校舎。
外はすっかり夜だった。
その時。
――ジジッ
突然。
放送が流れた。
『明日は――』
俺たちは顔を見合わせる。
『忘れていた事を思い出すでしょう』
それだけ言って、
放送は途切れた。
静まり返る校舎。
俺は天井を見上げた。
「……誰だ今の」
鏡少年が微笑む。
「さあ」
ピグが不思議そうに首を傾げる。
「ぶ?」
保健室の天井を見上げたまま、しばらく誰も動かなかった。
さっきの放送。
あれは間違いなく、この校舎の放送設備から流れた声だ。
だが――
「誰かいたか?」
俺が聞くと、鏡少年は首を横に振った。
「人の気配はありませんでした」
「カクニン、デキマセン。」
ピグは毛布の中から顔だけ出している。
「ぶ?」
「大丈夫だ」
頭を撫でると、安心したように目を細めた。
金次郎が静かに言う。
「夜の学び舎とは、かくも趣があるものだな」
「ポジティブだな」
俺は起き上がる。
「とりあえず見てくるか」
鏡少年が笑う。
「好奇心旺盛ですね」
「放送が流れたんだぞ」
廊下へ出る。
夜の校舎は昼間とは違っていた。
やけに静かだ。
足音が妙に響く。
放送室は二階の奥。
階段を上がり、廊下を進む。
扉の前に立つ。
「ここだな」
ドアを開ける。
ギィ……
中は小さな部屋だった。
机と機材。
だが――
誰もいない。
「……」
鏡少年が機材を覗き込む。
「普通の放送設備ですね」
「イジョウ、アリマセン。」
俺は腕を組む。
「じゃあ誰が流した」
その時。
ピグが俺の服を引っ張った。
「せんせ」
「どうした」
ピグは天井を指さす。
「……ぶ」
天井には何もない。
だが――
ふと、頭の奥で声がした気がした。
気のせいだろうか。
俺は小さく息を吐いた。
「まあいい」
校舎をもう一度見回したが、
結局それ以上の異常は見つからなかった。
__というか、木造二階建ての校舎。夜の放送…。
「これって、夜の放送っていう七不思議じゃない?」
「左様であるな。」
俺が呟くと、金次郎がすぐに肯定した。
七不思議だと分かれば怖くない。
心霊現象より、よっぽどましである。
安心した俺は、保健室へ戻る。
毛布に潜り込む。
静かな夜。
だが俺は思った。
この校舎。
まだ何かある。
そんな気がしてならなかった。
そして翌日。
俺たちは、
忘れていたことを思い出すことになる。




