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物件探し、大難航の乱。

家探し、始めますか!


ギルドを出てしばらく歩くと、古びた看板が見えてきた。


「ここですね」


鏡少年が看板を指差す。


『ローレンス不動産』


……なんか、普通だ。


ファンタジー世界の不動産屋って、もっとこう、怪しい魔導具とか置いてあるのかと思ってた。


中に入ると、カウンターの奥から中年の男が顔を出した。


「いらっしゃいませ」


「ギルドマスターのギルアさんから紹介で」


俺がそう言うと、男の顔がぱっと明るくなる。


「おお!ギルアさんの紹介ですか!」


やたら態度が丁寧になった。


……ギルア、信用あるな。


「それで、お住まいをお探しとのことで?」


「ええ。できれば、少し広めの場所が」


俺が答える前に、鏡少年がにこやかに言う。


俺たちの後ろでは、


「ぶも」


ピグが椅子の下で丸くなっていた。


人体模型は入口の横で直立している。


完全に怪しい一団だ。


喋る鏡に臆することもなく、


不動産屋は一切突っ込まなかった。


流石プロだ。



一軒目


最初に案内されたのは、街の中心に近い小さな家だった。


「こちらは人気物件でして!」


ドアを開ける。


中は――


狭い。


いや、普通の一人暮らしなら十分なんだけど。


問題は。


「……入れないな」


人体模型が。


「ワタシ、コノハバ、ツウコウフカ 。」


玄関で詰まっている。


「すみません……」


鏡少年が苦笑いした。


「いやぁ、その……人形の方が大きいですね」


不動産屋も困った顔。


さらに問題はもう一つ。


「ぶも」


ピグが部屋を歩く。


三歩で壁。


四歩で壁。


「……狭いな」


「狭いですね」


「ぶも」


全員一致。


一軒目、却下。



二軒目


次に来たのは少し広めの家だった。


「こちらは庭付きです!」


おお、それはいい。


庭ならピグも遊べる。


……そう思ったんだけど。


庭に出た瞬間。


「うおっ!?」


地面がぐにゃっと沈んだ。


「沼地じゃねぇか!!」


「い、いえ!これはその……湿地でして!」


不動産屋が慌てて弁解する。


「ぶも」


ピグが一歩踏み出す。


ズブ。


沈む。


「ぶも!?!?」


慌てて金次郎が引き上げる。


「これは危ないのではないだろうか。」


「……危ないな」


同意だ。


人体模型が庭を覗き込みながら言う。


「ヌマ キケンデス。」


二軒目、却下。



三軒目


三軒目は、街の少し外れにあった。


「こちらも広いですよ!」


確かに広い。


二階建てだ。


おお、これはいいかもしれない。


中に入る。


床はしっかりしている。


部屋数も多い。


鏡も沢山ある。


鏡少年が感心した声を出す。


「これはなかなか」


俺もそう思った。


……思ったんだけど。


その時だった。


ギィ……


二階から音がした。


「……今、誰かいたか?」


不動産屋は首を振る。


「いえ?」


ギィ……


また鳴る。


鏡少年が階段を見上げる。


「……」


人体模型。


静止。


ピグ。


「ぶも……」


小さく鳴いた。


そして。


二階から。


コン


コン


コン


足音。


「……」


「……」


「……」


不動産屋が言った。


「えーと……」


「ここ、何か出ます?」


「いえ!!」


即答だった。


三軒目、却下。



不動産屋に戻った頃には、夕方になっていた。


「申し訳ありません……」


不動産屋が頭を下げる。


「いえ、こちらこそ無理言って」


鏡少年がフォローする。


俺は椅子に座って天井を見た。


「家って難しいな」


「そうですね」


鏡少年も苦笑い。


ピグは机の下で丸くなっていた。


「ぶも」


人体模型は静かに言う。


「イエサガシ ナンコウ。」


「うん、知ってる」


鏡少年が俺を見る。


「先生、どうします?」


「……」


少し考えて。


俺は立ち上がった。


「今日は宿に帰って、明日ギルド行くか」


「ギルアさんですか?」


「ああ」


紹介してくれたのはギルアだ。


解体の進み具合の確認ついでに、相談ぐらいしてもいいだろう。


「ぶも!」


ピグが元気よく鳴いた。


俺たちは1度宿へと戻ることにした。


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