仲間
瓦礫の街を抜け、レイは外の世界へと
足を踏み入れた。
崩れた建物、立ち込める煙。
それでも、心に灯った小さな光が、
足を止めさせない。
数時間後、レイは砂漠を進んでいた。
砂嵐の中、前に進むのもままならなかった。
砂が目に入り、呼吸もままならず、
体中に痛みが走る。
「……くそ……」
地面に倒れそうになりながらも、必死に踏みとどまる。
やがて、嵐が少し収まった瞬間、視界が開ける。
砂の粒が風に舞い、目の前の光景が
ぼんやりと見えた。
そこに立っていたのは――
一人の青年。
鋭い目つきでこちらを見つめ、
剣を構えている。
「……誰だ…?」
レイは警戒しつつ、一歩前に出る。
青年もまた、警戒の目を光らせる。
「俺はカイ。魔帝を討つ者だ」
青年の声には、孤独と覚悟が滲んでいた。
「貴様もか…?」
レイはうなずく。
「……俺も、全ての根源である魔帝を討つために
ここまで来た…」
視線が交わり、互いの決意を確認する。
カイは一歩近づき、強くうなずく。
「なら、共に行こう。力を貸す」
砂漠を抜けた先に広がっていたのは、
赤黒く変色した大地と、歪んだ岩山。
熱はあるはずなのに、肌にまとわりつくのは
冷たい執念のような感覚だった。
レイは無意識に拳を握る。
胸の奥が、ざわついていた。
「ここが……」 「――愛執の魔帝の領地だ」
カイが言い切る。 その声には、確かな警戒が滲んでいた。
その瞬間だった。
ぐちゃり、と湿った音が背後で響く。
振り返ると、 岩陰から“それ”が姿を現した。
人の形をしている。 だが、顔は歪み、瞳は異様に粘ついている。
無数の腕が絡み合うように生え、 口元からは、
途切れた言葉が漏れていた。
「……あい……して……」 「にげないで……」
レイの背筋が凍る。
「魔徒だ」 カイが剣を抜く。
「愛執の感情に囚われた成れの果てだ」
魔徒が、こちらを見た。
次の瞬間、 異様な速度で迫ってくる。
「来るぞ、レイ!」
レイは一歩前に出た。 迷いはない。
「……俺は、もう逃げない!」




