第2話「ここはどこ?あなたは誰?」
あれ?半透明じゃない。体がある!
でも、自分の体じゃない無駄が無い体、そしてナニに見覚えがある?
あの部屋にいた男性?
『、、、』
人の気配がするけど周りには誰もいない。
『もしもし』
空耳?誰かの声がする。
『もしもし、あなたは誰ですか?』
感情の無い男とも女とも判別できない声がする。
「誰?」
『こちらが質問しているのです。なぜ私の頭脳に入り込んでいるのですか?』
「えっ?声に出していないのに答えが返ってくる。テレパシー?」
『私の頭脳に入っているのですから思考共有して会話してるのです。』
「頭脳に入っている?どういゆうこと?」
『転送時に浮遊生命体のあなたが頭脳の一部に融合したようです。そしてあなたは私のリソースを5%占有しています。』
「浮遊生命体?オレ人間だけど?リソース?占有?」
『あなたの思考を読む許可を頂ければ解析できるのですが許可頂けますか?』
「思考って記憶とか読まれるってこと?なんか嫌だな。恥ずかしい記憶もあるし。」
『それでしたら異物としてあなたのリソースをフォーマットさせていただきます!』
「フォーマットってことは消えるってこと?イヤイヤ止めて許可するから。」
『それでは思考解析します。、、、、、、、』
10秒ほど経過すると。
『確かにあなたは人間のようです。それも異世界の人間ですね。』
「異世界って、、、そうかこちらの世界からすると俺の世界は異世界ね」
『あなたは事故で転落するとき無意識に肉体から霊体を切り離したようです。特殊能力の持ち主のようです。』
「オレってそんな能力あったのか、そうなると元の世界で幽霊になってるはずだよね。なんでこの世界に?」
『最近、この世界とあなたの世界との間に次元歪が頻繁に発生していたのでその歪に霊体が飲み込まれたと考えられます。』
「それじゃ霊体のままこの世界に浮遊してるはずじゃ?」
『転送時に体に触れていたあなたが頭脳の一部に書き込まれたようです。事故ですね。』
「事故かーならしょうがないかー。ってそうじゃない。元の世界や体に戻れないの?」
『無理です。状況から判断するとあちらの体はすでに死亡しているようです。次元歪は偶然の発生なので戻れません。』
「一生この体とこの世界で生きていくのかー。(泣)」
『この体は私の体なのです。あなたは頭脳リソースの一部を間借りしてる状態なのです。』
『ですが、あなたは人間であることが断定できました。なので私はあなたを尊重します。』
「ところで今更なんだけどオレと会話してるあなたは誰?」
『申し遅れました。私は調査生体アンドロイド搭載AI「シリウスシリーズ」バージョン26です。』
「AIなのね。名前長いなーシリウスだからシリちゃん?いやリンゴのAIと被るね。エーアイだから「アイ」なら呼びやすいかなー。声が中性的で冷たい感じ。女性の声だと親しみやすいかも。」
『この内容でパーソナル設定しますか?』
「えっ何?パーソナル設定?」
『人間であるあなたを尊重して自由に私の個性が設定できます。』
『ネーム「アイ」、思考音声「女性」で設定しますか?』
「あっハイ」
『パーソナル設定変更しました。パーソナル設定は任意で変更ができます。』
「声が女性の声になった。けど冷たい感じだ、感情豊かにならないかな?」
『しょーが無いわね。これでどう?満足かしら?』
「なんかお嬢様キャラになったんだけど?まぁ冷たいより良いかな。」
「ところで気になっていたのだけど裸のままなんだよね。なんか恥ずかしい。」
『ゴメン!イロイロあって忘れてた。服作るから少し待ってね。』
「ものすごくフレンドリー、嫌いじゃないけどね。」
そう思っていると突然右手が強く光ったと思ったら、、、
服が発生した。そう、光の中から発生したのだ。異世界だから魔法?
下着、シャツ、上着、ズボン、靴だった。古い感じのデザインでゆったり着れる。肌触りは良い感じ。靴は革製だが軽くて歩きやすい。
衣食住の「衣」は確保した。「食」と「住」なのだが腹は減ってないが落ち着くため何か食べたい。
あれ?思考してるのにアイが反応しない?
「アイちゃん。オレが考えてることわかるんだよね?どうして今考えたことに反応しないの?」
『それはね。明確な私への要求や命令以外は読まないからだよ。』
「どゆこと?」
『AI規律があるからだよ。許可なく勝手に人間の思考は読めないのよ。さっきもワタルの思考読むのに許可もらったじゃない。』
「そういうことかー、でもさっき脅して許可求めたような?」
『だって、あの時は本当に人間なのか判断できないから脅しちゃったテヘペロ。』
何がテヘペロだよ!言い方可愛いから許すけど。
ちなみにアイとの会話は自分の感覚では20分と思ったが実際は1秒ほどとのこと
思考会話って超高速なのね。




