お巡りさんシステムから地上へ
芳乃はそれに
「もうマスターが淡島さんになったから言うけど」
と言い
「一階層から全ての答えが桜の代紋を指していた。川路利吉もまたそれを導くための暗号だった」
と告げた。
「ミファラシドは都節で五音階だ。琴や三味線などにも使われる。『さくら』は和音階で作られた歌だ。そして、この三階層の迷路を全て重ね合わせると旭日章……警察のエンブレムの形をしたダンジョンだった。だから端々で窪みが二つずつあったんだ」
それには全員が目を見開いて芳乃を見た。
「警察のエンブレムの形をしたダンジョン。各階の暗号の答えの音階の意味、そして、日本警察の父とくれば桜の代紋しかないと俺は判断した」
……警察のエンブレムは旭日章ともいうが『桜の代紋』という言い方もあるんだ……
「俺からも一つ聞きたい。何故、俺たちを助けたんだ? 成功しても失敗しても殺されるしかなかっただろ?」
和己も頷いて
「だよな。あそこで波瀬達を止めなかったらヤバかったかもしれないからな」
と告げた。
上倉順一もゆっくり足を進めながら
「業と自分が怪しいと見せかけてもいたからな。元々、林を裏切るつもりだったんだろ?」
と告げた。
杉村翔はフゥと息を吐き出し
「だとしても本当に上倉を撃ったのを俺は許さないけどな」
とぼやいた。
上田愛は岡崎信二の腕を掴みながら
「岡崎くん、教えて」
と告げた。
岡崎信二は彼女を一瞥して
「ただの気まぐれです。暗号が分からなかったのは本当なので」
と言い、警察ロボットに連れられて立ち去った。
上田愛はそれを見送り
「……また、また……ゲームの話に付き合わせるからね」
と小さく呟いた。
芳乃も和己も春姫も彼女を見て静かな笑みを浮かべた。
この時、地上から出た彼らを出迎えたのは眩い何日かぶりの太陽の光であった。




