お巡りさんシステム 4
国会議事堂を守っていた自衛隊のドローンと戦車に指示を出したが自衛隊のドローンは反対に国会議事堂を攻撃し始めた。
戦車についても緊急AI機能が起動すると中にいる兵士の操作を無視して国会議事堂へと突入を始めたのだ。
林正一郎は激しい砲撃で崩れていく建物の中で
「どう、どういうことだ?」
と目を見開いた。
全員が驚いている間に国会議事堂は炎に包まれ爆音と共に崩れ落ちた。自らが警察庁と警視庁へ仕掛けたことが自らのいる国会議事堂へと向けられたということである。
投げた石が戻ってきたということだ。
波瀬浩司も待機していたヘリポートで確保され捕まっていた面々は無事に保護された。
東京の道路では警察官ロボットが対岸の兵士の銃を警棒で弾きながら突っ込み
「不法入国及び銃刀法違反で逮捕する。抵抗する場合は命の保証はない」
と市街戦を広げた。
人々は放送により外出が禁止され、ただ外から響く銃撃の音や激しい金属音を耳にするだけであった。
更に入港の為に近付いていた対岸の船もドローンが銃口を向け飛来するのに船舶を停止した。
『日本の海域侵入を確認次第攻撃を行う。これは国家騒乱による緊急処置である。船舶の国籍を判別することはない』
遠くで事態を見守っていたアメリカやヨーロッパ諸国も視認できる範囲で飛び回るドローンと警告放送に静観を守っていた。下手に動いて攻撃の対象になっては駆け付けた意味がないからである。
一瞬の騒がしい市街戦の後に東京は静寂を取り戻すと道路には一時的に林正一郎の指示で乗り込んだ対岸の兵士や自衛隊員の死体が積み重なってその内乱の激しさを物語っていた。
後の歴史に『血の一日』と名付けられるほどの状態であった。
ただ対岸の兵士の大半は抵抗したために死亡したが自衛隊員の多くは直ぐに自ら投降して安堵の息を吐き出していた。上層部の命令と自身の感情の狭間で揺れ動いていたのである。
警察の打撃も大きかったが5時間後には東京のみならず東北など東京以東は落ち着きを取り戻した。
岡崎信二は両足の手錠が外され両手の手錠のみになりながら地上へと戻ると芳乃に目を向けた。
「桜の代紋という言葉が何故でたのか教えてもらえますか?」




