お巡りさんダンジョン三階層 2
春姫は冷静に
「父さん」
と小さく息を吐き出した。
死ぬまではないがかなりのダメージを与えることを厭わないところが父親らしいと思ったのである。
それだけお巡りさんシステムを手にする人間には厳しいのだ。
……失敗したら遭難死……
「それもあり得たかもしれないってことだよね」
それだけの力を持っているのだ。
男が背後の杉村翔に紙袋を横に払って攻撃を仕掛けた。ブンッと音が響き杉村翔は咄嗟に警棒を前に紙袋を弾こうと払いその重さに顔を顰めた。
かなりの衝撃が走った。
「重い」
だが。と、杉村翔はにやりと笑うと警棒を紙袋の紐の部分に巻き付かせて床へと押さえつけた。
「亜久里さん!」
芳乃は警棒を手に男の上に乗ると背後の急所を警棒で叩くとパタリと倒れたのに息を吐き出した。
「贈収賄及び公務執行妨害で逮捕する」
瞬間に赤い点滅は止まりアナウンスが流れた。
『逮捕を確認しました。お巡りさんシステムへようこそ』
同時に道に沿って床が光った。これまでは歩いている部分だけだったが恐らくシステムの場所まで続いているのだろうと通路の向こう側まで道が見えることに芳乃は判断した。
ロボットが全て停止したのを確認して全員が集まった。
芳乃は全員を見て
「恐らくこの先は問題なく行けると思う。行こう」
と告げた。
「ただ」
そう言ってチラリと春姫を見た。
「淡島前サイバー警察局局長は中二厨だったらしいから……まだ隠しがあるかもしれないから注意して進もう」
クッと思わず堪えきれないという風に笑った。




