お巡りさんダンジョン三階層 1
休憩場所を抜けると赤いランプが点灯しアナウンスが流れた。
まさかである。
誰もが顔を見合わせて正面を見つめた。
初っ端にフロアボスの登場である。いや、淡島春姫は3階層にお巡りさんシステムがあると言ったのだ。
ラスボスの可能性があった。
芳乃は息を吸い込み吐き出すと銃を和己に渡した。
「ラスボスかもしれない。弾切れはない方が良いが最悪仕方ない可能性がある」
和己は頷くと
「わかった」
と答え二丁を構えた。
その間にも
『献金取引が発生』
とアナウンスが流れ黒い服を着た如何にもなロボットが銃を手に襲ってきた。
芳乃は足を踏み出すと
「奥の銃を持っていない紙袋の男は俺がやる」
と銃を撃とうとする男たちの間を縫うように駆け抜けた。
和己は構えた男たちの肩を両手でそれぞれ撃った。
「俺も」
そう言って上倉順一が倒れた4人以外の2人の肩を正確に撃ち抜いた。
和己は冷静に
「いい腕じゃねぇか」
と心でぼやいた。
つまり遠野順一の偽名中は正にそういう風に振舞っていたということだ。
和己はフゥと息を吐き出した。
「良く言えば偵察だが悪く言えば見事に騙していたってことだな」
杉村翔もまた足を踏み出し紙袋の男と警棒で対峙する芳乃の手助けに走った。
芳乃は男を背後から警棒で攻撃しようとする杉村翔に
「気を付けろ! その紙袋……紙じゃないぞ! 当てられたら骨折する」
と叫んだ。
それに見守っていた和己も上倉順一も愛も岡崎信二も
「「「「まじか」」」」
と呟いた。




