お巡りさんダンジョン二階層 4
芳乃は冷静に
「この道が正解ルートだからだ」
と言い
「何が無くても取りあえず全選択をすると決めたから奥の行き止まりルートを先にいく」
と告げた。
「あ、ここで待機してもらって俺と和己で行っても良い」
それに愛が足を踏み出した。
「私も行きます。岡崎くんは上倉さんと杉村さんと淡島さんをお願い」
岡崎信二は戸惑いながら
「あ、わかった」
と答えた。
芳乃は頷くと
「じゃあ、ここで待機してもらうように」
上田さんと南部いこう、と足を踏み出した。
今来た道を戻り奥の道へと入った。それほどの距離はないと分かっていたので敵が出たとしても問題がないと考えていたのだ。
芳乃は奥の道のドン突きまで行くと
「話があるなら今の内だけど上田さん」
と告げた。
愛は笑むと
「わかったんですね」
と告げた。
和己も腕を組むと
「二階に上がってから君の言動がおかしかったからな」
と告げた。
「どうして行き成り上倉さんに考えもなしに賛同を?」
愛は二人を見ると
「岡崎くんは私がゲーマーだということを知っているんです」
と告げた。
「だから私がお二人のことを知っていた理由も本物の彼なら知っていたはず」
芳乃と和己は顔を見合わせた。
愛は二人を見つめ
「波瀬さんが今回の反乱を起こした側の人間がいれた偽者の警察官というのを聞いていたので、もしかしてと考えたんです。ずっと気付かなかった。でも南部さんが私に『ゲーム詳しいんだ』って言った時に彼『え? そうなんだ。知らなかった』って言ったんです」
と告げた。
「本物の岡崎くんなら絶対にそんな言葉でない」
愛は顔を歪め
「だから、彼が上倉さん達の反対の立場に立ち私たちに彼らの疑念を植え付けようとしたので反対に上倉さん達を信じることにしたんです」
とキュッと唇を噛み締めて芳乃と和己を見つめた。
あの地下駐車場から隠れ通路に入った時から誰が味方で誰が敵か分からなかった。
いや、今も分からない。
正に疑心暗鬼との戦いである。
芳乃は冷静に
「俺が信じているのは二人だけだ。南部と淡島さんだけだ」
と告げた。
愛は少しショックを受けた表情を浮かべたもののスゥと息を吸い込み
「確かにこの状態では仕方がないですね」
と告げた。
和己は二人の様子を交互に見た。




