お巡りさんダンジョン一階層 7
全員がギョッと二人を見た。
芳乃は全員を集めると
「これが暗号のヒントだ」
と見せた。
そこには
『国語の基礎小1問題 72 63 11 91 32 45』
と電光掲示板に表示されていたのである。
……。
……。
全員が顔を見合わせた。
芳乃はペットボトルの水を飲み一息つくと
「最初の分岐の左の端にあった」
と告げた。
春姫がそれに
「つまり行き止まりも見逃さない方が良いって事だね」
と呟いた。
今回のように大急ぎで戻る必要性が出てくるということである。それどころかどの分岐のどこを見ていないかを覚えていなければ振り出しに戻って見直していかなければならないのだ。
和己は乾パンを口に運びながら
「う~ん、国語で小学一年って言えばひらがなとか本当に基礎の基礎だな」
と呟いた。
愛はじっと見て
「算数じゃなくて国語って事はこの数字を平仮名か漢字になおせってことでしょ?」
と言い
「単純に考えると小学校一年なら平仮名が主だから……72だと……」
と呟いた。
杉村翔は冷静に
「平仮名は50音……で50文字」
と暗に72番目の文字はないと告げた。
「濁音とかを入れるとあるだろうけど」
遠野順一が指で
「みふあらしと」
と告げた。
岡崎信二は顔を向けると
「どういう意味が?」
と聞いた。
遠野順一は冷静に
「わからん」
と答えた。
「だが50音を別の方法で見ると7列目の2番目は『み』と考えていくとそうなる。もちろん、そうじゃない可能性は高い」
全員が顔を見合した。
芳乃はチラリと春姫を見た。
春姫は軽く肩を竦め
「俺は父の考えが分からない。けれど、その文字が全く無意味でない可能性があるので入れてみてもいいかもしれない」
とリュックに乾パンの残りとペットボトルを入れて立ち上がった。
「あの人のダンジョンなら、失敗しても大丈夫だと思うので俺が入れよう」
芳乃は頷くと同じようにリュックに食べ物などを仕舞って立ち上がり全員に一応少し扉から離れて待機するように間を取った。
そして春姫の横に立ち
「じゃあ、頼む」
と告げた。
春姫はでたらめな文字10個で出来たダイヤルを回し左から『み』『ふ』『ぁ』『ら』『し』『ど』と入れた。
瞬間にドンッと音が鳴るとガガガと何かが動く音が周囲に響き渡った。
杉村翔は驚きながら
「失敗か!?」
と叫んだ。
緊張感が走り、咄嗟に芳乃は春姫を守るように腕を回して後ろへと下がった。




