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孤城のアトリエ  作者: 伊織
第三章:革命の兆し
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第五十一話:退屈しのぎ

もう少しで10万文字になるので、10万文字記念で人気キャラ3人の自己紹介も兼ねた番外編を予定しています。

感想欄にてキャラクターの名前だけでもいいので、1人につき好きなキャラ3人分の名前を送っていただけると幸いです。人気キャラを把握したい意図があるだけなので名前が上がったキャラは全員書くと思います。普段は面倒で感想書かないという方でも、名前だけでいいのでぜひ送ってください!


 菜摘と隼人とは別れて、やってきたのはショッピングモール。


「モックありますよ〜!!」


 結局、餌という名のスマートフォンと文天堂のスイッチにつられて付いてきてしまい、買い物を終えたあとフードコートにいた。


「好きなものを持ってくるといい。私が払うよ」


 開闢は席につき、ひよりと奏人に現金を握らせればそう言った。二人は少し戸惑いながらもいわれるがままに昼食を買いにいく。戻ってきたときには、トレーに山積みになったモックのバーガーがあった。


「……若いねぇ」


「オバサンだ」


「オバサンですね〜」


 二人も席につき、もぐもぐとバーガーを食べ始める。開闢は、もうお腹いっぱいだとでもいうように微笑みながら見ていた。本人いわく、「もうバーガーを見るだけで胃もたれする歳になっちゃってね」とのことらしい。


「さてさて。本題に入ろう」


 二人が食べている中、頬杖をつきながら話し始める開闢の姿は心底楽しそうだった。ひよりはピクリと肩を揺らし、食べる手を止める。


「オークションやるんだってね。どこかに会場を借りるのかい?それとも、ネットオークション?」


 何かヤバイことをいわれるのではないかと身構えたが拍子抜けだった。ひよりは面倒くさそうに眉間にシワを寄せ、口を開く。


「ネットオークション…。珠玉の魔女の傘下にある会社が運営するオークションサイトを使うつもり。珠玉には菜摘さんが許可を取ってくれたらしい。当日はサイトが落ちないように大幅強化もしてくれるって」


 そう言えば、開闢はフフフッと可笑しそうに笑い始めた。


「そうかそうか!珠玉も現金なやつだね。オークションで一儲けしようって魂胆!その菜摘って子、相当頭が切れる。魔女同士が手を組んで開催する大規模な催しともなれば、反魔女も警戒して迂闊に手は出せないか」


「いいね。最近退屈していたんだよ。私も混ぜてほしいものだね」と開闢はひよりに顔を近づけ、悪戯めいた目を向ける。


「いいよ」


 しかし意外にもひよりの答えはYES。これには絶対に断られると思っていた開闢も唖然だ。


「その代わり、名前は借りるよ。開闢の魔女、珠玉の魔女、叡智の魔女の共同開催。どんどんマスコミに餌を与えて、大昔に開催してたオリンピックみたいな、国を挙げた催しにする」


 そう言い放つひよりの声に、開闢は思わず目を細める。

 そして、突然手を伸ばした。


「寂しいものだね。大人の後ろをチョコチョコ歩き、大人のいうことを聞いて動いていたひよりが…今や教団を立て直すなんて言うようになってしまった」


「私の後ろをついてきていた君は実に滑稽だったが、あの頃は確かに愛らしかったよ」

 開闢の表情は、いつもの胡散臭い笑みとは程遠い、穏やかな笑みだった。


「妄想癖があるのは坊さんだけでいいよ」


 ひよりはそっぽを向き、再びバーガーにかぶりつく。

 その様子に開闢は「照れているのかい?」と口元を緩める。

 奏人は横でバーガーを頬張りながら、何だこの親子みたいな空気と心の中で苦笑していた。


「オバサンは、なんで“開闢”なんですかー?塩屋さんは自分の魔法から取ってるのは分かりますし、ひより様は賢いので叡智も分かりますけど」


 話が一段落したところで奏人が口を開く。ひよりは嫌な顔をして奏人を静止しようとするが、遅かった。


「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれたじゃないか!!」


 突如、人が変わったようなハイテンションで立ち上がる。両手を天に向けて叫ぶように話し始める。


「始まりの魔女?創造神?そんなものクソほど面白くない!!私がこの世界の神になろうと思ってね!!いいじゃないか開闢!私がこの世界を…イタッ!」


 興奮気味にそう話す開闢だが、すぐにバンッ!と音を立ててテーブルに顔を打ち付けた。開闢の頭を掴んでいたのは——


「ババア。フードコートで気色悪い厨二病を披露すんな。飯が不味くなる」

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