見た目は価値観
その状況に怯えるのはサイドテールの彼女だけ。
もう一人のギャルはあっけらかんとし、スマホで場所を確認し始める。
「なんで圏外なのよ!!」
ギャルは地面に携帯を叩きつけた。
「ねぇ、やっぱり棒返したほうが良いんじゃないかな?」
「は?何?これが何かの祟りとでも言うつもり?」
「いや、そんなんじゃ…」
「あんたいい加減キモイよ?言いたいこと言わないし」
「ご、ごめん」
「はぁ…一緒に遊ぶんじゃなかった。面倒臭い…」
「ッ!!」
聞こえる全ての声に耳が塞ぎたくなる。
それを我慢して、泣くのを我慢して、彼女は震える。
「もういいや。ほら、棒。それと一緒によろしくやってれば?」
脚が竦み動けない彼女を置いて、もう一人のギャルは棒をポイッと彼女の足元に投げ捨て先に歩いて行ってしまった。
「ミチシルベダ…」「スクイダ…」
刹那、それにもの凄いで縋る亡霊。
しかし様子がおかしい。
亡霊達はぐるぐると鉄の棒を中心に周り、焦り出す。
「スクワレナイ…」「オカシイ…」「ドウジデ!」「アイツノセイダ」
「コイツノセイダッ!!」
そして、彼女の方をバッと一斉に見た。
「ひっ…」
恐怖に動悸。寒気に吐き気。不安に体の力が入らなくなる。
彼女はその場にぺたんと座り込んだ。
(怖いよ。何で私だけこんなものが見えるの…。もう嫌だよ、人と違うなんて!)
「あー!あったぁー!良かったぁ…」
俺は走りまくってやっと見つけた。
そこは神社から車で十分も離れた人気のない田舎町だった。
その中のだだっ広い更地。
汗だくの俺。しかし、顔は笑顔だ。
霊はプンプン怒っているけどな。