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言えないのが強さか、見えないのが弱さか

「ここどこっすか?」


昼を終え、午後と呼ばれる時間になった頃、俺は一さんに連れられ小さな神社の前まで来ていた。


大盛況の神社。


俺からしたら大盛況じゃなくて悲惨な現場に見えるけど。


何故あの中に入って人が大丈夫なのか些か疑問だ。


空気感染でもしてるのかと思うほどに汚く燻んだ空気。木達に潤いはなく、土もこけて乾燥している。


鳥居から覗いて見るだけでもこんなにも咽せ吐きそうなのに。


俺は鳥居前で足を止めた。


「いける?」


「無理ですっ!」


「うん!元気だね!行けそう!」


鬼畜すぎるッ。


俺はへっぴり腰になりながら鳥居を括る。


すると更に加速する体調不良。人の目も気になって、もうやってられん。


「それで…ここなんなんですか?」


「うーんとね。パワースポットだってさ!」


「パワースポット!?こんな嫌悪の掃き溜めみたいな場所が!?」


「私達目線ではそうだけど、彼らからすると、ね。何の力を吸収しているのか。考えるだけで悍ましいけどね」


間違いない。


「まあ、それはおいといて。本題!これから君にはこの棒を5本受け取って欲しい」


「え?はあ」


一さんは俺に鉄の棒を五本渡してきた。


「重っ」


「それでこれを直感で地面に刺して欲しいんだ」


「どうなるんですか?」


「私の思想。元に戻すための準備だよ」


この淀みが消えるのか?


とりあえず一さんの指示通り「なーんか気になるなぁ」と言った場所にこの鉄の棒を刺す事にした。


うわぁ。人多過ぎて目線気になるー。


誰かに通報されない?


それだけが不安のまま、極力人の見られない木陰に刺す事にしたんだが。


「何してんのあれー」


完全にバレている。


ミニスカ、カッターシャツの胸元ボタンを開けた金髪JKギャルが二人。


気になる。


いや、一目惚れとかじゃなくて、ツーサイドアップの髪型をした一人の方だ。


顔色が悪く、目が虚った。


「大丈夫ですか?」


「あんたの頭が大丈夫?」


「あ、はい。すみません」


俺がそう聞くと隣の顔もよく分からないギャルにそう返答された。


確かに俺は鉄の棒を地面にぶっさす変な男だけど。


しかしそれはどうでもよくて。


「いえ。本当に顔色が…」


「あんたに心配される筋合いはないくない?」


(いや、あるだろ)


どうしても隣の奴が喋るなぁ。


「……霊が見えるとか?」


「あんた宗教に勧誘でもしてんの!?マジで頭おかしいんじゃない!?さっさとあっち行けよ!気持ち悪い!」


隣の友人は怒るが、彼女はピクッと体を反応させる。顔も青ざめて大分辛そうだ。


「ここはパワースポットなの!!だから連れてきたのに…何が顔色が悪いよ…。あんたがここにいるからでしょう!?」


おっとー、すんごい解釈きた。まあいいや。


「あー。すみません。そうでしたか。じゃあ、もう行きますね?」


俺はこれ以上ヘイトを集めるのも視線を集めるのも面倒だったから、彼女達の横を通り過ぎた。


「大丈夫」と、しんどそうなギャルに一言添えて。


俺もとてつもなくしんどい。けれど、彼女の辛さを見たらそのしんどさすら力に変えられる。


何故こんなにもしんどいのか。


それは先程から聞こえる大衆の「助けてぇ」が原因だろう。


俺には霊みたいな奴らが見える。


彼らが完全に怯えている。


俺の足を掴み、背中に乗り、頭に乗り、縋っている感じ。


他人よりも相当数縋られるのは俺が彼らを認知しているからだろう。


助けてくれない誰かに助けを求めてもしょうがないだろ?


「苦しいよなぁ」


人気のない神社隅で俺は最後の鉄棒を打ち込み、そう呟いた。


「おっ」


すると、鉄の棒に霊や淀んだ空気だけが集まってきた。


恐らく一さんの仕業だろう。


しかし機能したのはそこから五分だけ。それ以降は霊さん達が困ってしまった。


「あれえ?何で?」


そう思って自分が刺した棒の跡を巡ると一本だけ鉄の棒が抜かれていた。


場所は先程ギャルが居た所。


近くに鉄の棒は落ちていない。


どーしよっ。


取り敢えず一さんに報告をしたいが……人が多過ぎてどこにいるのか分からないな。


あのギャルを見つけるのが早いか、一さん見つけるのが先か。

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