表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/65

髪を切る

 鏡に映るマーサは困惑していた。

「リュゼリア様、本当によろしいのですか?」

「いいのよ、ばっさりやっちゃって!」


 ——女性の髪の長さ、それは貴族のステータスを示すもので必ず長い髪でなければ……という時代はこの国では過ぎた。髪が短い人もいれば、長い人もいる。


 それでも、私が今日までこの長い髪を維持し続けていたのは、エドワード陛下のためだ。長い髪というのは、それだけ維持が大変で、だからこそ昔は一種のステータスだった。


 時代は変わったとはいえ、まだ長い髪に対する特権階級の印象が消えたわけじゃない。


 だからこそエドワード陛下が見くびられないように長く伸ばしていたし、幼いエドワード陛下にも言われたのだ。

「リュゼリア、君の長い銀髪はまるで冬の月の光を集めたようで、とっても綺麗だ」


 そして、エドワード陛下により綺麗だと思ってもらえるように、髪のケアを念入りにしていた。


 でも、そんな髪ともおさらばね!


「……本当によろしいのですね?」

 再度確認したマーサに大きく頷く。

「ええもちろん! お願いするわ」


 髪を梳かし、マーサが丁寧に切っていくのを興味深く眺める。


 こうしてみると、私って本当に髪が長かったのね。


「この長さでいかがでしょうか?」

「うーん、そうねぇ……」


 マーサはまず、胸の高さまで切り揃えて私を鏡越しに見つめた。


「もっとよ!」

「もっとですか!?」

「ええ!」


 せっかく切るんだし、もっと短くしたいわ!


「かしこまりました」


 ハサミを置き、再度マーサが私を見つめる。

「これでいかがでしょうか?」

「そうね、丁度いいわ。ありがとう、マーサ」


 胸と肩の間くらいの長さで揃えてもらった。


 これくらいの長さなら、様々なアレンジを楽しむことができそうだし、それに……。


「かつらも被りやすそうね」

「かつらにございますか!?」

 

 あら、やだ。口が滑っちゃったわ。


 仕方ないので、マーサに白状する。

「ええ。髪をまとめてネットに入れて、かつらをかぶったら、城下にも行きやすいかなと思ったのよ」



 その他にも、心が軽くなったし、体も軽くしたかった。というのもある。


「城下、ですか……?」

「ほら、結婚してから公務以外でこの城の外に出たことがないじゃない? だから、出てみたいと思ったのよ」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記Amazon様の書籍リンクです
恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ