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私らしく、前向きに

 朝の支度を整えた後、食事の間に行く。

 食事の間は、私たち——国王夫妻のために設けられた場所。

 ……といっても、エドワード陛下を見たことは数えるほどしかないけれど。


 思った通り、今日もエドワード陛下は来なかった。でも、そのことに心を痛める私は昨日までの私。今日からの私は違うわ!


「ねぇ、聞きたいことがあるのだけれど」

 給仕に話しかけると、給仕は困った顔をした。

「王妃殿下、陛下なら——」

「いいえ、尋ねたいのは陛下のことじゃないの」

「え?」


 ふふ、驚いてる。

 この給仕のこんなに間の抜けた顔を見たのは、初めてかもしれないわ。

 ……まぁ、いつもいつも私は陛下が来ないことについて尋ねていたものね。


「おかわりを、いただけるかしら?」

「!? おかわり、ですか?」

「ええ」


 王城の食事はとても美味しい。それこそ、いくらでも食べられそうなほど。


 でも、いつ来るかもわからないエドワード陛下に気を遣って、おかわりなんて、できなかった。

 エドワード陛下が、おかわりを要求する卑しい妃を迎えただなんて、悪評が立たないように。


 でも、そんな生活はもうおしまい!


 私は、私らしく、生きていくとしましょう。


「すぐに持って参ります!」

 給仕はすぐに出来立てのおかわりを持ってきてくれた。


 とろとろのオムレツを口に運ぶ。

「ありがとう、とっても美味しいわ」

「それはよかったです」


 他にも、スープやパン、サラダなど……いつも食べたくても食べられなかった量を思う存分食べた。

 

「ありがとう、今日の食事もとっても美味しかったわ。——料理長にも、いつも本当に美味しい料理をありがとうと、伝えて」

「かしこまりました、必ず伝えます。ありがとうございます!」


 ◇◇◇


 さて、とっても美味しい朝食の後は、いつも通り公務をした。

 公務といっても、子を産むという最大の公務が出来ていない私に与えられる仕事はそんなに多くはない。


 昨日までは、少ない書類の量にまで心を痛めていたけれど。


 今日からはそんな必要もないわ!


 そもそも一人では子は出来ない。

 子を作ることを放棄しているのは、エドワード陛下も一緒なのだし。一緒どころか、私を避けているエドワード陛下の方が悪いと思う。


 それに、仕事が少ないのはいいことだわ! 休憩時間がたっぷりとれて幸せ!!


 うん、それくらいの気持ちでいこう。

 本来、私は明るい性格なのに、嫉妬や恋慕のせいでじめじめした性格になってたのよね。


 でも、恋心が消えてとってもスッキリしたわ。

 

 それにしても、本当に長い休憩時間なのよね。何をしようかしら。


 

「そうだわ!」


 私は思いついたことを試す為に、早速マーサにお願いをした。

「私の髪を切ってくれない?」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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