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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
二章

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君から与えられるものなら(エドワード視点)

「……ロイズ?」

 今日の治療を終え、自室に戻ると、ロイズが私の部屋の前で待っていた。

「陛下」

「どうした?」

 ロイズは、神妙な面持ちで一通の手紙を差し出した。

 受け取り、ひっくり返して封を見る。


 ロイグ公爵家の家紋がついており、差出人は……。

「リュゼリア……」

 なぜ。もう私のことなどどうでもいいのではないのか。

 震える手で、その手紙を開ける。

「……」

 美しいが硬さもある紛れもない、リュゼリアの筆跡で綴られた言葉。その一つ一つを読み漏らすことのないように、ゆっくりと目を通した。


「……ふ」

 読み終わった手紙を大切に封筒にしまう。

「……手紙にはなんと?」

 声をかけられて初めてロイズがまだいたことに気づく。

「あぁ。……どうしても直接伝えたいことがあるから、会いたいと」

 なんだろう。やはり、先日、ラグルナ湖で出会ったときに共にいた男のことだろうか。

「ロイズ、面談の調整を頼む」


「それは……かまいませんが。どうされたんでしょうね、急に」

 首を傾げながら、去って行こうとするロイズに付け加えた。

「面談は私と、リュゼリア、彼女の従者、ロイズ、だけで行うから、そのつもりでいてくれ」

「……四人ですか?」

 振り向いたロイズの顔には、冗談だろうと書いてある。


「ロイグ嬢は、いまや公爵令嬢です。いくら元王妃とはいえどもそれは……」

「いや、四人だけだ。そして、このことは誰にも話すな。いいな?」

「陛下っ!」

 それだけ伝えて、自室に入る。まだ遠くでロイズの声が聞こえたが、気づかない振りをした。

 机の最上部の引き出しに、リュゼリアからの手紙を入れ、鍵をかける。

 手紙には、こうもかかれていた。


 この面談の予定を、信用できるもの以外に話すな、と。

 リュゼリアがそこまで、念を押すほどの話、とはいったいなんだろうか。

 なんにせよ、リュゼリアが……私とどうしても話したいというのなら、否という理由はなかった。

「リュゼリア……」

 月の妖精のように可憐で、強い意志を秘めている私の女神。

 女神がもたらすのは、喜びか痛みか。

 どちらにせよ、君から与えられるなら、それは幸いに違いなかった。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

次回からリュゼリア視点で、いよいよ第一部クライマックスです!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[良い点] エドは引出しに鍵をかけたり、リュゼリアとの面会を漏らすなと言い付けたり。 ロイズを疑ってたわけではなさそうだけど、どこからか情報が漏れてると無意識にでも警戒してた?
[良い点] いよいよネタばらしが始まる……!でも多分アイリの邪魔が入るよなぁ [気になる点] その手紙の内容だと陛下がアイリに喋っちゃうんじゃ……陛下はアイリの事信頼してる訳だし
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