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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
二章

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わたしの味方(アイリ視点)

 そうして、迎えた今日。

 エドは、やっぱり夢見が悪くてよく眠れなかったみたい。

 馬車の中で、うとうとしているエドは、青白い顔をしていた。

「……リア。リュゼリア」

 寝言で名を呼ばれるほど愛されているくせに、その手をあっさり放した、元王妃様。

 こんな幸福をなぜ手放すのか、わたしにはわからない。


 ……可哀想なエド。

 どうして、そんなにリュゼリア様がいいんだろう。

 わたしにはその良さがさっぱりわからないけど……。

 もしかして、刷り込みかなぁ。決められた婚約者だったから、好きにならざるを得なかった、ってこと?

 

 まあ、なんでもいっか。

 エドは、まだ目を覚ましてないだけ。

 いつかちゃんと、わたしだけを見てくれる。

 だって、わたしたちはそうなる運命だもの。その証だってある。

「ねぼすけすぎるよ、わたしの王子様は」

 

 ……まったく、エドったらしょうがないんだから。

 そんなことを考えながら、エドの寝顔を眺めつつ、馬車に揺られていると、馬車が止まった。

 やっと、目的地に着いたみたい。

 エドをゆすって起こす。


「エド、着いたよ?」

「……ん」

 長いまつ毛を震わせて、瞼を開けたエド。そうすることで顕になる翡翠の瞳は、どんな宝石よりも美しいわたしの宝物だ。

「……あぁ。すまないな、アイリ。眠ってしまっていた」

「ううん、いいの。疲れが溜まっちゃってたんだよ」

「……ありがとう」


 それから馬車を降りて、エドは愕然としていた。

「ここは……」

「ラグルナ湖、だよ! 気持ちがいい場所だから、エドと来たかったんだ!」

 ……というのも本当だけれど。ここは、恋が大好きな女神が最初に降り立った湖だから、カップルに人気がある。


 そんな場所にお忍びとはいえ、エドと来たら。周囲はわたしをどう思うかな。

 そう思って、ここにした。

「アイリ……悪いが、ここは……」

 エドは早く立ち去りたそうに、わたしから視線を逸らした。

 やっぱりそうだよね、と思いつつ、ずきりと胸が痛む。


「ねぇ、エド――」

 まだ気づかないの? わたしたちは運命なんだよ?

 そう言って、馬車に引き返そうとしたエドを引き留めようとしたとき、エドはある一点を見て、固まった。


「なぜ?」

「エド……?」

「なぜ、リュゼリアが……?」

 呆然と呟かれた視線の先には、リュゼリア様――わたしの恋敵で、元王妃様の後ろ姿があった。

「やだっ、リュゼリア様じゃないですか!」

 ――やっぱり、神様は、わたしの味方だ。


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!


今回のアイリ視点はひとまず、この話で終了の予定です。

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] さぁ!エド!目を覚ませ! もうミュゼリアは帰って来ない!(笑)
[一言] "寝言で名を呼ばれるほど愛されているくせに、その手をあっさり放した、元王妃様。  こんな幸福をなぜ手放すのか、わたしにはわからない。" 自分で仕組んだくせして何言ってやがるんだか しかし…
[良い点] 何だかアイリ視点めっちゃ楽しい! ついでに王さまに早く元王妃の真の笑顔を見せてあげたい! [一言] アイリが何かしらの悪さしてるのは確定っぽいが、ぶっちゃけどうでもよい。 優柔不断な王さま…
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