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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
二章

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わたしの王子様(アイリ視点)

 最近、エドはずっと忙しそうで、つまんない。

 せーっかく、王妃様――……リュゼリア様と別れて、わたしと結婚できるようになったのに。

 今日も治療の為に、わたしの部屋へやって来た、エドを迎え入れる。


「……エド?」

 エドは、これ以上ないほど疲れ切った顔をしていた。

「どうしたの、顔色悪いよ」

 エドは、頑張り屋さんだから、頑張りすぎちゃったんだね。

 そういいながら、ハーブティーを淹れる。

 確か今日は、花降祭の挨拶に行くって言ってた。

 そこで、何かあったのかな。

 ……心配だ。エドは、たった一人のわたしの王子様なのに。


「……アイリ」

 エドが力なく、わたしの名前を呼ぶ。

「ハーブティーはいいんだ」

「本当にどうしたの、エド」

 エドの様子が本当に変だ。

「そんなものはいいから、早く治療を……」

「――飲まないと治療もうまくいかないよ?」


 いつも以上に元気がないエドに、微笑んでハーブティーの入ったカップを差し出す。

「……心が落ち着いた状態じゃないと、上手くいくものもいかなくなっちゃう」

「……そう、だな。わかった」

 力なく頷いたエドは、わたしからカップを受けとると、ゆっくりとハーブティーを飲んだ。

 ちゃんと、喉が動いているのを確認して、ほっと息をつく。


「……ちゃんと飲んでくれて良かった」

 エドの為だけに毎日配合を考えているハーブティーだ。

 だから、きっと、これでエドの心も落ち着くはず。

「すまない、アイリ。……心配をかけたな」

 エドは、さっきよりは良くなった顔色で、薄く微笑む。

「……ううん。エド、それでどうしたの?」

 エドの隣の椅子に腰かけながら、尋ねる。


「最近、夢見が悪いんだ」

 俯きながら、ゆっくりと吐き出された言葉に、耳を傾ける。

「いつも、夢にリュゼリアが出てくる。やっと、夢だとしても、会えたのに。それなのに、いつも、手が届かない」

 ぎゅっと、手を悔しそうに握りしめて、エドは続けた。

「それに、リュゼリアは決まって他の男といるんだ。そんなこと、有り得ないのに」

 ――いつか、それが現実になりそうで怖いんだ。

「……そっかぁ」

 それは、確かに怖かっただろう。

 エドの気持ちが痛いほどわかる。


「わかるよ。……辛かったね」

 エドが、結婚すると聞いた時、絶望した。

 なんでって、わたしはちゃんと……のはずなのに。

 ……でも。

「でもね、大丈夫だよ、エド」

「……アイリ?」

 エドが不思議そうな顔で、瞬きをした。

 わたしは微笑んで、椅子から立ち上がると、エドの頬を両手で包む。

「言ったでしょう? 幸せにしてあげるって」

 



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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] はいはい。アイリとお幸せにね〜(笑)
[一言] エドワードには同情するところもあるけどアイリの思惑にも気付かないし、リュゼリアの苦しみにも気付かなかった鈍感さは、それだけ自分の苦悩が深かったとはいえ、結局自分の事しか見えてなかったって事だ…
[気になる点] 王様が見た夢はいつかそうなっておかしくない現実ですが、今、まさにな状況なので、王様には実は夢見の能力があるのかと思ってしまった(笑) [一言] 以下同文!(笑) 違法とか考えず、王子さ…
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