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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
二章

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お誘い

「そう……だったのですね」

 私を見つめるアキルの瞳に曇りはなく、ただ穏やかな光を湛えている。


「はい。あなたが、あの高潔な恋をなくしても、王のそばにいたいと願うなら、身を引くつもりでした」


 でも、そうじゃなかった。

 私は、エドワード陛下から離れたがったものね。


「ロイグ嬢」


 アキルは私の前に跪くと、私の手を取った。

「私は、あなたを妻に望んでいます。ですが、突然のことで、混乱しているでしょうし、何より、あなたも……私も。互いのことをほとんど知らない」

「……そうですね」


 それは間違いないことだわ。

 頷きつつ、次の言葉を待つ。


「ですので、親睦を深めたいと考えています。まずは……共に出かけてみませんか?」

「それって……」


 もしかして、もしかしなくても。


「はい、デートの誘いです」


 微笑んだアキルは、本当にキラキラしていた。なんというか……近寄りがたいほどの美しさのはずなのに、親近感もある不思議な笑みだ。


「ですが、私は……」


 まだ、離婚をしたばかり。

 そう……離婚といえば。


「……離縁した私が、王太子であるあなたと婚姻するなんて、問題でしょう?」


 そのはず。少なくとも、この国ではそうだ。


「いいえ。私の妻として、認められる条件は、ただ一つ。私が選んだ、ということです」


 ええ、でもそんなのって……。

 私がとんでもない傾国の女だったらどうするのかしら。


「ああ、そういえばロイグ嬢に伝え忘れていましたね」

「?」


 なにかしら。



「私は、今のところ王太子ではありますが、王になるかはまだ確定ではありません」

「……? どういうことですか?」


 王太子。つまり王位第一継承者、ということではないの?


「私は、私の妻となるべき人……もしくは、股肱の臣を探し求めていました」

「はい」


 それはさっき聞いた。


「これが、最終試験なのです。ルクトバージの王太子が、次の王になるためには、これと定めて連れてきた人物が国民に認められる必要があります」

「え……ええっ!?」


 じゃあ、私がもしこのままアキルについていったとして、国民に認められなかったら……。


 想像して、血の気が引く。


「そんな、心配そうな顔をしないで」

「い、いえっ、でも……。さすがに荷が勝ちすぎるといいますか……」


 そもそも他国の王妃だった女性を、自国の新たな王妃として認めるって、私が国民だったらなんとなく嫌な気がする。


「私はあなたなら、国民から認められると確信しています」


 えっ、ええええええー。

 私の中には全くそんな自信はないわ!


「無理です!!!!!!」


 はしたないとわかっていながら、音が出るほど首を横に振る。


 そんな私を楽しげに見つめて、アキルは微笑んだ。


「私を信じて……と言いたいところですが、まだ私たちはお互いのことを知らないですし。やはり、共に、出かけるのはいかがでしょう?」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!


また、「お飾りの妻役、喜んで拝命いたします!」という新連載も始めてます。下にリンクがあるので、ぜひそちらも読んでいただけたら嬉しいです!

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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される
お読みいただき有難うございます!
運命は、手に入れられなかったけれど
連載中です!
― 新着の感想 ―
[一言] 青春を取り戻そう!(笑)
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