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恋心に苦しむ王妃は、異国の薬師王太子に求愛される【WEB版】  作者: 夕立悠理
二章

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条件

 アキルを見ると、彼は微笑んだ。

「……アキル殿?」

 この反応の意図がわからず戸惑う。

「――そうですね。私は、ルクトバージの王太子です」

 やっぱりそうなのね。王太子だったのは、予想外だけれど。


 ルクトバージの王族は、国王と王妃以外、表舞台には出てこない。

 だから、私もアキルの存在を知らなかったのだ。


「ですが、だからといってあなたに、距離を取られるのは悲しい」

 その表情は嘘を言っているようには思えなかった。

 ……でも。

「なぜ、でしょうか……?」

 私に距離を取られると悲しがる理由がわからない。

 一番に考えられるのは、アキルの探し物……よね。

 その探し物が何なのか全くわからないけれど。私に質問をすることで、探し物が見つかるのだという。


「ロイグ嬢」

 まっすぐに、凪いだ海の瞳は私を見つめていた。

「私は探し物を見つけに、この国を訪れました」

「……はい」

 そのことは知っている。


「探し物は、今まで様々な国を探しても見つかりませんでした。でも……この国でようやく、見つかりそうなのです」

「その探し物って……?」

 一体、なに? いつも半端じゃ意味がないとか、ふんわりとしたことしか教えてもらえなかった。


「――あなたです」

「…………………え」

 探し物が――私!?

 でも、私が過去にアキルに出会っている……ということは、記憶の限りでは、ない。


「正確には、私の妻となるべき人、もしくは、股肱の臣になりうる人……を探していました」

 つまり、いずれは王妃としてアキルを支える女性か、一番信頼のおける家臣か、そのどちらかを探していたってことよね。

 私が王妃のときからアキルは、私にそのどちらかの可能性を感じていたというのなら……。

 やっぱり股肱の臣かしら。……でも。


「私は、政務などでは期待されるほど、お役に立てないかと思います」

 確かに私は元王妃だけれど、任される公務は少なかった。一番の公務である子供を産む、ということが果たせなかったから。

 でも、私がアキルの腹心に……というのは、考えもしなかった道だわ。


「いいえ、ロイグ嬢。あなたには――私の妻になっていただきたいと考えています」

「……え?」

 私が、アキルの妻に? そしていずれは王妃になれと、言うの?


「私にそんな大役、務まりません」

 それに、私はまだアキルのことをほとんど知らない。

 せいぜいが、好きな色は紫ということだけ。

 それにアキルも、私のことをほとんど知らないはずだ。


「公務や政務のことなら心配しないでください。私が妻に望む条件は一つだけ」

 一つ……? そう言っても、アキルは大国の王太子だ。

 とんでもない条件に違いない。


 アキルは、私の目をまっすぐに見つめた。


「私が判別できる人物であること」


いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!


また、「お飾りの妻役、喜んで拝命いたします!」 という新作も連載中です。

そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

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お読みいただき有難うございます!
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― 新着の感想 ―
[一言] うを…これはなかなか深そうな理由…
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